抄録 |
【目的】C型慢性肝炎に対するテラプレビル3剤併用治療は非常に有効性が高い反面,治療施設条件や副作用などで治療導入している診療所は少ない.今回,当診療所で3剤併用治療を行った経験と工夫を報告する.【方法】対象は当診療所で3剤併用治療を行った28例で,27例は診療所で治療導入,1例は拠点病院で導入後3週目からの紹介.【成績】1)患者背景:IFN+RBV初回治療7,再治療21(再燃13,無効8),男性16,女性12,IL28B TT 19,TG 9,治療開始時年齢:中央値(最小-最大):55(23-70)歳,体重:63.0(44.0-85.3)kg,Hb値:14.8(11.2-17.1)g/dl,Plt値:15.2(8.2-28.8)×104/μl,WBC数:4970(2860-8460)/μl.2)治療開始量:前治療無効8例ではTVR(mg/日)2250:1500:1000=4:3:1,RBV(mg/日)800:600:400=3:1:4,PEG-IFNα2b(μg/週)100:80:60=4:2:2.前治療再燃もしくは初回投与の20例ではTVR(mg/日)2250:1500:1000=4:15:1,RBV(mg/日)800:400=1:19,PEG-IFNα2b(μg/週)100:80:70:60:50=6:43:6:3:1.3)HCV RNA陰性化時期:前治療無効8例では4週目まで4,4週目以降3,陰性化なし1,前治療再燃もしくは初回投与の20例では4週目まで15,4週目以降5.4)3剤治療経過:12週まで3剤治療中止2例,うち1例は休薬2週後2剤治療(SVR).12週まででTVR減量は中止例2例を含む6例のみ,12週まででRBV減量は中止例2例を含む3例のみ,8週目以降にRBV増量3例.5)治療効果:無効8例中5例(全例TG)で効果判定可能で無効1例,再燃4例.再燃および初回投与20例中17例で効果判定可能で全例SVR.SVR17例の開始時投与量は中央値(最小-最大)でTVR:23.8(19.2-37.0)mg/日/kg,RBV:6.8(5.0-9.1)mg/日/kg,PEG-IFNα2b:1.3(0.9-1.6)μg/週/kg.【結論】治療前因子よりSVRが期待できる例では治療開始量をTVR 1500mg/日,RBV 400mg/日,IFN 1.0μg/週/kg以上にすることで安全性が増し,開始量を12週間継続できればSVRが得られる可能性が高い. |