セッション情報 ポスター

HCC-1

タイトル P-102:

非B非C肝細胞癌における腫瘍マーカーについての臨床的検討

演者 早田 哲郎(福岡大学消化器内科)
共同演者 阿南 章(福岡大学消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学消化器内科), 櫻井 邦俊(福岡大学消化器内科), 入江 真(福岡大学消化器内科), 土屋 直壮(福岡大学消化器内科), 福永 篤志(福岡大学消化器内科), 國本 英雄(福岡大学消化器内科), 喜多村 祐次(福岡大学消化器内科), 横山 圭二(福岡大学消化器内科), 森原 大輔(福岡大学消化器内科), 竹山 康章(福岡大学消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科)
抄録 【目的】AFPとPIVKA-IIはともに肝細胞癌(HCC)の診断や経過観察に有用な腫瘍マーカーであるが,これらは互いに相関しない.最近は非B非CのHCCが増加しているが,その特徴の一つとしてPIVKA-IIの上昇が知られている.本研究では,非B非CのHCCを対象として,上昇する腫瘍マーカーによる臨床像の違いについて検討した.【方法】当院にて1991年1月から2010年12月の間に診断されたHCCのうち,HBs抗原陰性かつHCV抗体陰性の153例からワーファリン内服中の1例と腫瘍マーカー測定が不十分であった13例を除いた139例(平均72.1歳で男性104例,女性35例)を対象とした.HCC診断時のステージは,I:14例,II:58例,III:37例,IVa:13例,IVb:6例,不明11例であり,Child-Pugh Scoreは,A:85例,B:41例,C:8例,不明:5例であった.背景肝は,アルコール性肝障害(ALD):50例,NASH:15例,PBC:5例,AIH:3例,AIH+PBC:1例であり,分類不能例を含めたその他の症例が65例であった.AFP/正常上限とPIVKA-II/正常上限が5倍以上の差があるものを,それぞれ優位な方によってAFP群,PIVKA群とし,その他をMixed群とした.これらの群の臨床的な特徴について検討した.【成績】AFP群28例(20%),PIVKA群48例(35%),Mixed群63例(45%)に分類された.各群でHCC診断時の年齢,肝癌のステージ,門脈浸潤(Vp3以上)の有無,肝予備能に差はなかったが,PIVKA群は優位に男性例が多かった.また,背景肝の違いについては,PIVKA群はAFP群に比べるとALDとNASHが多く,予後は3群のうちAFP群が有意に不良であった.【結論】非B非CのHCCについて,腫瘍マーカーの種類の違いによる臨床像の違いを明らかにした.背景肝がALDとNASHの場合はPIVKA-II優位になりやすく,これらに共通する病態がPIVKA-II上昇のメカニズムに関与している可能性が示唆された.
索引用語