セッション情報 ポスター

HCC-1

タイトル P-103:

非B非C肝癌例におけるNASH肝癌の臨床的特徴

演者 佐藤 智佳子(山形大学医学部消化器内科)
共同演者 渡辺 久剛(山形大学医学部消化器内科), 水野 恵(山形大学医学部消化器内科), 勝見 智大(山形大学医学部消化器内科), 冨田 恭子(山形大学医学部消化器内科), 奥本 和夫(山形大学医学部消化器内科), 西瀬 雄子(山形大学医学部消化器内科), 斎藤 貴史(山形大学医学部消化器内科), 上野 義之(山形大学医学部消化器内科)
抄録 【目的】近年,NASH由来の肝癌が増えているが,そのリスク因子は明らかでない.我々は,NASHにおける肝発癌リスク因子を明らかにするため,非B非C肝癌症例における飲酒量および生活習慣病の関与に着目し検討した.【方法】2001年-2012年までの非B非C肝癌69例を,エタノール摂取60g/日以上のアルコール性肝障害(ALD)群,飲酒量20~60g/日の中間飲酒量群,NASH群,NASHが疑われたが組織診断がつかなかった原因不明群の4群に分け,背景因子,腫瘍因子,予後を比較した.さらに,NASH患者で肝発癌例と非発癌例との背景因子を比較し,発癌とPNPLA3 SNPとの関連を調べた.【成績】ALD群40例(58%),中間飲酒量群8例(11%),NASH群9例(13%),原因不明群7例(9%)であった.(1)背景因子:NASH・原因不明群ではALD・中間飲酒量群に比べて発癌年齢は高く,糖尿病やMet症候群のリスク因子数2個以上の合併例も多かった.Child-Pugh B,Cの症例はALD群・中間飲酒量群に多く認められた.(2)腫瘍因子:NASH・原因不明群は,ALD・中間飲酒量群に比し,AFP低値で腫瘍数は少なく,腫瘍径も3cm以下が多かった.しかし各群の累積生存率に差はなかった.(3)NASH患者での検討:肝発癌例は非発癌例に比し,高齢,男性,糖尿病の合併,stage3,4の線維化進行例が多かった.FIB4 indexが0.5以上上昇した群では,上昇しなかった群と比べて累積発癌率が有意に高かった.PNPLA3 Gアリルの頻度は,両群で差はなかった.また,PNPLA3 Gアリルを有する37例中4例に発癌を認めたが,非Gアリル3例からは発癌を認めなかった.【結論】NASH群,原因不明群では糖尿病,Met症候群の合併頻度が高く,原因不明群の中にNASHに関連したいわゆるメタボ肝癌が含まれる可能性が示唆された.NASHからの発癌に寄与する因子は,高齢,男性,糖尿病,線維化であった.PNPLA3 SNPはNASH例における肝発癌予後にも関連している可能性があり,さらに検討が必要である.
索引用語