セッション情報 ポスター

肝膿瘍

タイトル P-110:

当院で経験したアメーバ性肝膿瘍13例の臨床的検討

演者 重福 隆太(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科)
共同演者 野口 陽平(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 初谷 守朗(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 池田 裕喜(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 松永 光太郎(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 松本 伸行(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 鈴木 通博(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科)
抄録 【目的】当院で経験したアメーバ性肝膿瘍の臨床的特徴を解明する.【方法】1999年から2013年までに当院で経験したアメーバ性肝膿瘍13例の臨床的特徴を検討した.【成績】対象はアメーバ性肝膿瘍13例(平均年齢:52.5(33-79)歳,男性11例/女性2例).感染経路は主に経門脈感染が疑われ,大腸粘膜にびらんや潰瘍を認めた症例は6例であった.感染契機は男性同性愛1例,風俗業1例,海外渡航2例であった.背景疾患には総胆管結石,関節リウマチを認めた.HIV抗体陽性2例,HBc抗体又はHBs抗体陽性6例,TPHA陽性4例であった.膿瘍の個数は単発10/多発3例,部位は右葉9/左葉1/両葉3例であった.診断では,膿瘍直接検鏡法でアメーバ栄養体,嚢子が確認されたのは2例(15%)のみであった.血清赤痢アメーバ抗体は全例陽性であったが,入院時陰性で入院1週以降のペア血清で陽性となった症例を5例に認めた.また入院時からMetronidazoleの内服開始までの日数は,平均7.5日(1日~39日)と長く,初回の血清赤痢アメーバ抗体陰性により細菌性肝膿瘍として治療されたことが主な原因であった.治療は12例でMetronidazoleが投与されており,経皮経肝膿瘍ドレナージが10例に施行された.Metronidazoleが投与されなかった1例は長期に抗菌薬で治療され,後に血清アメーバ抗体陽性を認めた.平均在院日数は34日,全例で治癒し予後良好であった.【考察】男性が85%,右葉単発例が約70%を占め他の報告と大差ない結果であった.臨床上の問題点は診断遅延であり,Metronidazole開始までに1週間以上を要した症例が7例(54%)存在した.アメーバ性肝膿瘍において,直接検鏡法の感度が低く,急性期には血清赤痢アメーバ抗体が陰性となる症例が存在することが要因であると考えられた.【結論】肝膿瘍の診断の際,膿瘍のグラム染色が陰性であれば,アメーバ性肝膿瘍を疑うことが重要であり,早期からMetronidazoleを開始すべきであると考えられた.
索引用語