セッション情報 ポスター

肝膿瘍

タイトル P-111:

肝膿瘍で発症し,その後の消化管精査で発見された多発胃癌の一例

演者 呉 明愛(東京北社会保険病院外科)
共同演者 森園 剛樹(東京北社会保険病院外科), 頼木 領(東京北社会保険病院外科), 松野 成伸(東京北社会保険病院外科), 細井 則人(東京北社会保険病院外科), 岡村 淳(東京北社会保険病院外科), 桑原 悠一(東京北社会保険病院外科), 首藤 介伸(東京北社会保険病院外科), 天野 正弘(東京北社会保険病院外科), 山口 真彦(東京北社会保険病院外科), 住永 佳久(東京北社会保険病院外科), 梅屋 崇(東京北社会保険病院内科)
抄録 症例は64歳,女性で,3日前39.9℃の発熱にて当院に救急搬送され,熱中症を疑われて補液を受け帰宅した.その後も発熱持続し,食欲不振,倦怠感が改善しないため,再受診したところ,炎症所見とともに肝胆道系酵素の上昇を認め,CTにて肝外側区に肝膿瘍が指摘され入院となった.血液培養にて肺炎桿菌が検出され,抗生剤投与を行った.胆道系に異常はみられず,進入門戸検索のため,消化管精査を行ったところ,下部消化管には異常はみられず,上部消化管に多発する胃癌を認めた.6週間の抗生剤投与により肝膿瘍は軽快し,退院後1ヶ月目に胃切除を行った.病理診断は胃角部の2型進行胃癌(tub2,por,mp)とその周囲に広がるIIa病変(tub1,pap,m)さらに前庭部のIIc病変(tub2,m)を認め,リンパ節転移なくpStageIbであった.経過は問題なく,術後10日目に退院した.胃癌と肝膿瘍の合併例は,肝転移や肝直接浸潤により形成された肝膿瘍を除くと,報告は少なく,大腸癌やGISTの場合と同様にmucosal barrierの破壊が原因による経門脈性感染による膿瘍形成と推測されている.胆道系に異常のない肝膿瘍の診断・治療に際しては全消化管の精査は重要である.
索引用語