セッション情報 ポスター

肝膿瘍

タイトル P-114:

抜歯を契機に発症したと考えられるStreptococcus anginosusが原因の肝膿瘍の1例

演者 岩下 英之(福岡市医師会成人病センター消化器内科)
共同演者 松井 謙明(福岡市医師会成人病センター消化器内科), 壁村 哲平(福岡市医師会成人病センター消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学消化器内科学), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科学)
抄録 今回我々は健常者で,口腔内常在菌であるStreptococcus anginosus(以下S. anginosus)が原因の肝膿瘍の症例を経験した.症例は74歳男性.発熱を主訴に近医で内服加療を行われたが,症状が改善せずWBC:22700/μlと高値を呈しており,精査加療目的で当院に紹介入院となった.病歴として約1か月前に抜歯,その5日後に脱肛の日帰り手術歴がある.腹部エコーと腹部造影CTにて肝膿瘍と診断し,肝膿瘍穿刺と血液培養検査にて両方よりS. anginosusが検出された.肝膿瘍の発症原因として悪性腫瘍や糖尿病など基礎疾患を有する症例が多いが,本症例は抗HIV抗体陰性,抗赤痢アメーバ抗体100未満で,免疫不全を疑う所見はみられなかった.入院時よりパニペネム・ベタミプロン2g/日の点滴投与を開始した.起炎菌を同定後,第6病日よりセフトリアキソンナトリウム2g/日に変更し,解熱した.症状改善後,上下部消化管内視鏡検査を施行し,肝膿瘍の原因病巣になり得る病変はみられなかった.肝膿瘍の原因菌としてStreptococcus milleri group(以下,SMG)はまれに報告があるが,その中でS. anginosusを原因菌とする報告は少ない.本症例は基礎疾患がなく,抜歯の5日後に脱肛の手術をしているが,本症例では創部に感染はなかった.また一般的に脱肛の手術が原因で肝膿瘍あるいは全身性の感染症をおこすことは極めて稀であり,以上のことから抜歯が原因である可能性が高いと考えた.focus不明の感染症で,抜歯は重要な病歴であり,肝膿瘍の早期診断の手がかりとなると考えられた.健常者で抜歯を契機に発症した口腔内常在菌が原因であるS. anginosusの肝膿瘍の症例報告はなく,貴重な症例と考え報告する.
索引用語