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膵 診断

タイトル P-115:

当院における膵疾患に対する診断的EUS-FNAの成績と偶発症の検討

演者 土井 俊文(京都府立医科大学消化器内科)
共同演者 保田 宏明(京都府立医科大学消化器内科), 岡山 哲也(京都府立医科大学消化器内科), 吉田 直久(京都府立医科大学消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医科大学消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医科大学消化器内科), 十亀 義生(京都府立医科大学消化器内科), 内山 和彦(京都府立医科大学消化器内科), 半田 修(京都府立医科大学消化器内科), 石川 剛(京都府立医科大学消化器内科), 高木 智久(京都府立医科大学消化器内科), 阪上 順一(京都府立医科大学消化器内科), 小西 英幸(京都府立医科大学消化器内科), 八木 信明(京都府立医科大学消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科), 伊藤 義人(京都府立医科大学消化器内科)
抄録 当院では2008年5月にEUS-FNAを導入し,2013年9月までに198例の診断的EUS-FNAを施行している.その中で,膵疾患に対し診断的EUS-FNAを施行した127例を対象とし,成績および偶発症について検討した.男女比は72:55,平均年齢は64.8歳(16-88歳)であった.平均穿刺回数は4.0回(2-6回),検体採取率は97.6%,膵癌における診断能は,感度90.5%,特異度100%,正診率93.2%であった.病変の内訳は,膵臓癌83例,自己免疫性膵炎11例,慢性膵炎8例,神経内分泌腫瘍6例,SPN2例,乳癌膵転移1例などであった.偶発症は4例(3.1%)で認め,血腫1例,白血球上昇1例,嘔吐2例で,いずれも保存的加療を行った.血腫および嘔吐を認めた計3例はいずれも19G針を使用していた.治療翌日に高アミラーゼ血症を認めた症例は13例あったが,腹痛を伴った症例はなかった.血腫を来した1例は,膵体部腫瘤に対して経胃的に穿刺を行った症例で,穿刺部より胃内に拍動性出血を認めたが自然止血し経過観察とした.しかし,約20日後に腹痛のため施行した腹部CTで,穿刺部に血腫形成を認めた.また,白血球上昇の1例は,膵尾部癌の疑いに対しEUS-FNAを施行した症例で,治療翌日に白血球数25,500/μlと著増を認めたが,腹痛などの症状は認めなかった.その後も白血球数は増加し,後にG-CSFが666pg/mlと高値であることが判明し,G-CSF産生腫瘍の可能性が考えられた.当院でもEUS-FNAは既報と同様に高い検体採取率と診断能を有していた.偶発症を3.1%で認めたがいずれも重篤ではなく,EUS-FNAは高い安全性と診断能を有していると考えられた.偶発症の発生が疑われた際には積極的に早期の状況把握に努める必要があると考えられた.また,G-CSF産生腫瘍の症例からは,偶発症が疑われる検査データであっても,患者背景から正しい病態理解を図る必要があると示唆された.
索引用語