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膵 診断

タイトル P-117:

膵管癌におけるEUS-FNA検体を用いた組織診・細胞診・K-ras遺伝子変異検査の検討

演者 原田 賢一(鳥取大学機能病態内科学)
共同演者 斧山 巧(鳥取大学機能病態内科学), 川田 壮一郎(鳥取大学機能病態内科学), 澤田 慎太郎(鳥取大学機能病態内科学), 山本 宗平(鳥取大学機能病態内科学), 今本 龍(鳥取大学機能病態内科学), 池淵 雄一郎(鳥取大学機能病態内科学), 安部 良(鳥取大学機能病態内科学), 松本 和也(鳥取大学機能病態内科学), 河口 剛一郎(鳥取大学機能病態内科学), 八島 一夫(鳥取大学機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学機能病態内科学), 武田 洋平(鳥取赤十字病院内科)
抄録 【緒言】膵腫瘤性病変における超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)の診断能は高く,また,膵管癌において微量なEUS-FNA検体を用いたK-ras遺伝子変異解析も可能である.当院では,採取した検体を余すことなく組織診,細胞診,K-ras遺伝子変異検査に提出して診断を行っており,今回はその成績を報告する.【対象】2012年4月~2013年9月までに膵腫瘤性病変に対してEUS-FNAを施行した70病変(71検体)を対象とし,内訳は膵管癌47病変,膵神経内分泌腫瘍7病変,IPMC1病変,腎癌膵転移1病変,慢性膵炎など良性疾患14病変であった.【方法】内視鏡はUCT240-AL5及びUCT260(Olympus),観測装置はProSound α10(Aloka)を使用し,穿刺針は22Gあるいは25G針を用いた.【検体処理】シャーレ上に押し出した検体のうち透明~白色組織片及び糸ミミズ状凝血は組織診用に提出し,残検体(血液)を生理食塩水で希釈し,細胞診とK-ras遺伝子変異検査に提出した.K-ras遺伝子変異検査はBML社に依頼し,PCR-reverse sequence specific oligonucleotide法を用いて解析した.【成績】膵管癌における組織診/細胞診の成績は,それぞれ検体採取率97.2%/95.7%,感度100%/84.8%,特異度91.7%/87.5%,正診率97.2%/85.7%であった.K-ras遺伝子変異陽性率は,膵管癌87.2%,膵神経内分泌腫瘍,腎癌膵転移,良性疾患はいずれも0%であった.IPMC1例は陽性であった.膵管癌におけるK-ras遺伝子変異の成績は,感度87.0%,特異度100%,正診率89.7%であった.【考察】当院は組織診を重視しており,細胞診及びK-ras遺伝子変異検査の成績は劣るが,極微量な検体を用いても診断が可能で,貴重な検体を有効に利用することの重要性を示すことができた.K-ras遺伝子変異のみが陽性となったIPMC例もあり,細胞診,K-ras遺伝子変異検査は診断を補完する可能性が示唆された.
索引用語