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膵 診断

タイトル P-118:

当院における膵疾患に対するEUS-FNAの現状

演者 古林 麻美(倉敷中央病院消化器内科)
共同演者 清輔 良江(倉敷中央病院消化器内科), 熊谷 健(倉敷中央病院消化器内科), 日野 真太郎(倉敷中央病院消化器内科), 吉田 司(倉敷中央病院消化器内科), 久保 敦司(倉敷中央病院消化器内科), 石田 悦嗣(倉敷中央病院消化器内科), 松枝 和宏(倉敷中央病院消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院消化器内科)
抄録 【目的】当院における膵病変に対するEUS-FNAの診断成績を評価し,問題点を明らかにする.【方法】対象は,2009年8月から2013年8月に当院でEUS-FNAを施行した180病変中,膵病変137病変(男女比=88:47,平均年齢67.9歳).検体採取部位の内訳は膵体尾部108病変,膵頭部27病変,膵鉤部2病変.穿刺針は22Gを基本とし,穿刺容易なものには19G針を,穿刺困難時には25G針を使用した.簡易ギムザ染色(hemacolor)でrapid on-site evaluationを施行し,適切検体が得られるまで穿刺を行った.【成績】膵病変に対するFNA全体の検体採取率は91.2%(125/137).穿刺不能例のうち10例は穿刺ライン上に血管や膵管が重なった症例で,2例は術後胃(Billroth-II法)のため腫瘍の描出が困難であった.穿刺可能であったものの検体採取率は細胞診100%,組織診71.2%(89/125)であり,感度93.5%(102/109),特異度100%,正診率94.4%(118/125)であった.サイズ別の感度は,最大径≦2cmは90.9%(20/22),最大径>2cmは94.3%(82/87)であった.EUS-FNAにて検体採取できた膵病変125例の最終診断は,腺癌93例,内分泌腫瘍9例,炎症性12例,肺癌膵転移3例,原発不明癌2例,悪性リンパ腫1例,腺房細胞癌1例,良性腫瘍4例であったが,うち7例(膵癌6例,悪性リンパ腫1例)ではFNAで診断困難であった.炎症性12例のうち8例はAIP症例で膵癌と鑑別できた.膵癌症例における検討では,部位別の感度が膵鉤・頭部87.5%(14/16),膵体尾部94.6%(71/75)で有意差は認めなかった.穿刺針の太さ別の感度は,22Gは85.7%(132/154),25Gは91.1%(51/56)であった.穿刺回数は平均2.304回であり,86例(92.4%)は穿刺回数2回までで診断できた.穿刺不可能であった症例12例中8例は膵鉤部・頭部であった.偶発症は,脳梗塞を1例に認めたのみ(0.8%)であった.【結論】EUS-FNAは安全に施行可能で高い正診率が得られるが,穿刺困難例も存在し,特に膵鉤部・頭部の腫瘤描出率を向上させていくことが課題と考えられた.
索引用語