セッション情報 ポスター

膵 診断

タイトル P-120:

EUS-FNAにて術前診断が可能であった退形成膵癌の一例

演者 石川 英樹(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター)
共同演者 田中 浩敬(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター), 水谷 泰之(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター)
抄録 【症例】73歳男性【主訴】左季肋部痛【既往歴】慢性膵炎,高脂血症【家族歴】特記すべきことなし【生活歴】アルコール:日本酒3合/日 喫煙:なし【現病歴】2013年4月左季肋部痛あり近医受診.慢性膵炎の診断で禁酒,蛋白分解酵素阻害剤の内服で経過観察.1週間後の再診時には腹部症状は消失したが,血液検査で血中アミラーゼの上昇あり,当院紹介入院となる.入院時に腹痛はなく,血液検査ではP-AMY 140 CA19-9 116と高値を示した.腹部USで体尾部は観察できず,造影CTでは体尾部の主膵管拡張および不整な低吸収域があり周囲に炎症が波及したような変化を伴っており,慢性膵炎の急性増悪を第一に疑った.4/30同部位をEUSで観察すると,膵炎の変化のためか観察しづらかったがCTでの不整な低吸収域に一致して,20mm境界がやや不明瞭な低エコー腫瘤が描出された.5/1 ERCPを施行するも体尾部主膵管は圧排閉塞を呈し,尾部は造影されず.また頭部主膵管は回転屈曲しているため,ガイドワイヤが閉塞部位には到達できず膵液ブラシ細胞診は不可能であった.膵癌が否定できずEUS-FNAを施行したところ,anaplastic carcinomaまたはpoorly differentiated adenocarcinomaとの結果であった.5/30当院外科にて膵体尾部切除,胃部分切除を施行した.最終病理診断はAnaplasticcarcinoma(pPbt,pTS2,浸潤型~結節型,intermediated type,INFβ,ly2,v3,ne1,mpd(-),pT4,pS(+),pRP(+),pPVsp(+),pA(-).pPLX,pOO(+)(,胃壁)pPCM(-),pDCM(-)であった.術後はCA19-9は速やかに正常化した.本症の発生頻度は日本膵臓学会の膵癌全国登録調査報告に2003年度の報告及び同学会のオンライン・ジャーナルによれば,1981年から2004年までで,退形成膵癌を含む通常型膵癌13,029例中40例(0.31%)とまれな疾患である.本症例は画像診断では良悪性の診断が困難であり,EUS-FNAにて術前に退形成膵癌と診断可能であった.術後4か月が経過したが現在無再発生存中である.
索引用語