セッション情報 ポスター

膵 IPMN

タイトル P-123:

急性膵炎を発症したIPMN症例についての検討

演者 瀧井 道明(大阪医科大学看護学部)
共同演者 増田 大介(大阪医科大学第二内科), 井元 章(大阪医科大学第二内科), 小倉 健(大阪医科大学第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 【目的】急性膵炎を発症したIPMN症例についての実態について検討する.【対象・方法】2001年から2013年6月までの当科での急性膵炎入院症例150例のうち,アルコール性や胆石性などが否定されて,成因としてIPMNが考えられる症例は12例あった.なお,分枝型IPMNはERCPまたはMRCPで主膵管との交通性が認められる計5mm以上の分枝膵管の拡張とした.この12例について臨床的検討を加えた.【結果】年齢は60~83歳(平均68歳).性別は男性10例,女性2例.重症度は重症3例,軽症9例.分類は主膵管型3例,分枝型7例,混合型2例であった.急性膵炎の発症が1回のみが7例,2回以上の再発例が5例で,最高7回発症して嚢胞増大により破裂をきたした症例もあった.膵炎軽快後に膵切除術が施行されたのは6例であった.膵炎再発5例は,全て初回発症時に比較して最終的に主膵管や嚢胞径の増大,結節の出現など手術適応基準を満たすようになっていた.このうち,1例を除いて4例(分枝型2例,主膵管型1例,混合型1例)に手術が施行されて,病理診断は全てIPMC(上皮内3例,浸潤あり1例)であった.一方,非再発7例のうち手術が施行されたのは2例で,1例は嚢胞径の増大と結節が出現した分枝型IPMC(非浸潤性),1例は主膵管型IPMC由来の浸潤性膵管癌であった.なお,膵炎再発1例と非再発5例は外来で経過観察中である.【結語】IPMNを急性膵炎の成因とするには慢性膵炎や仮性嚢胞との鑑別を要して確定しにくい場合もある.膵炎軽快後の経過観察中に主膵管や嚢胞径の明らかな増大がみられる例や,とくに膵炎再発症例では,背景にIPMCからの粘液分泌亢進による膵管内圧上昇が関与していることを念頭に入れて,悪性を示唆する結節性病変の有無などの積極的な精査の上で浸潤のない段階での膵切除術が望まれる.
索引用語