セッション情報 ポスター

膵 その他

タイトル P-127:

EUS-FNAにより診断に至り,Glypican3が有用であった膵SPNの男性3例

演者 丸野 敦子(東海大学消化器内科)
共同演者 川口 義明(東海大学消化器内科), 川嶌 洋平(東海大学消化器内科), 小川 真実(東海大学消化器内科), 峯 徹哉(東海大学消化器内科), 和泉 秀樹(東海大学消化器外科), 古川 大輔(東海大学消化器外科), 矢沢 直樹(東海大学消化器外科), 中郡 聡夫(東海大学消化器外科), 平林 健一(東海大学病理診断科)
抄録 【症例1】48歳男性.心窩部痛で前医受診.画像上膵鈎部の腫瘍を認め当院紹介.腫瘍はEUS(超音波内視鏡)では膵鈎部に22mm大.内部に石灰化と嚢胞成分を認めた.CTで漸増する造影効果を示し,ERPで主膵管の圧排が示唆されたが嚢胞は描出されず.診断確定に至らず,診断目的にEUS-FNAを施行.組織診にて血管性間質周囲に偽乳頭状に増生する腫瘍細胞を認め,免疫染色でChromograninA陰性,βcatenin,CD10,Glypican3に陽性を示した.SPNの診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.【症例2】53歳男性.健診でのp53抗体高値を主訴に前医受診.画像上膵頭部に腫瘍を認め当院紹介.EUSでは膵鈎部に32mm大の境界明瞭な低echo腫瘍を認め,CTで遅延性の造影効果と内部に石灰化を認めた.ERPで異常所見なし.EUS-FNAを施行し,組織診で濃染核と好酸性胞体をもつ小型細胞を認めた.免疫染色でChromograninA陰性,βcatenin,CD10,Glypican3に陽性.SPNの診断で腫瘍核出術を施行した.【症例3】63歳男性.急性膵炎既往で前医通院中.画像上膵頭部に15mm大の腫瘍を認め当院紹介.EUSでは膵頭部に境界明瞭で内部に石灰化を伴う低echo腫瘍を認め,CTで遅延性の造影効果を示した.ERPで主膵管の圧排が示唆された.EUS-FNAを施行し,組織診で類円形核と好酸性胞体をもつ小型細胞の充実性増生を認めた.免疫染色でChromograninA陰性,βcatenin,CD10,Glypican3に陽性.SPNの診断に至った.SPNは若年女性に好発する稀な腫瘍で,診断に難渋することがある.特にNETとの鑑別は困難とされ,βcatenin等の有用性が指摘されている.Glypican3はWntシグナル経路に関わる細胞膜上の蛋白で,主に肝細胞癌の診断に有用とされる.2011年Havらが膵SPNの診断に有用な可能性を指摘したが,今回EUS-FNAの組織診においてもGlypican3が有用と考えられた.SPNの臨床病理学的特徴を考える上で示唆に富むと考える.
索引用語