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膵 その他

タイトル P-411:

膵癌心転移の一例

演者 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院消化器内科)
共同演者 長尾 宗政(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 正木 翔(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 北村 悟(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 増尾 謙志(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 斉田 宏(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院消化器内科)
抄録 【症例】77歳男性【主訴】腹痛【既往歴】心不全,心房細動,脳梗塞,慢性腎不全【現病歴】腹痛,食思不振あり,単純CT,腹部エコーにて膵腫瘍を指摘され当科受診【内服薬】ワルファリンカリウム2.75mg【血液検査】CEA 4.3ng/ml,CA 19-9 152.0U/ml,Dupan-2 59U/ml【経過】造影CTにて平衡相で低吸収を示す3.5cm大の膵頭部腫瘍を認め,上腸間膜動静脈,大動脈,脾静脈,門脈への浸潤が疑われた.また,肝,肺に多発腫瘍を認め,大動脈周囲リンパ節の腫大を認めた.右心房内には2年前の心エコーでは認めなかった2.5cm大の造影効果を示さない境界明瞭な腫瘍を認めた.内視鏡的逆行性膵胆管造影にて膵頭部で主膵管の完全途絶を認めた.以上より膵頭部癌多発肺・肝転移cT4N3M1 cStage IVbと診断.本人,家族と相談の結果,積極的な治療を希望せず退院となった.右心房内腫瘍は造影CT所見,心房細動の既往から血栓が第1に疑われたが,本人,家族と相談の結果,経過観察となった.退院5日後に黒色便,吐血を認め来院.CTにて膵頭部腫瘍の十二指腸浸潤に伴う出血が疑われたが,全身状態を考慮して経過観察とし5日後に死亡.病理解剖では膵に中分化型管状腺癌を認め,肺・肝転移,十二指腸浸潤による十二指腸狭窄を認めた.右心房内には3.5cm大の表面平滑な白色充実性腫瘤を認めた.組織学的には腫瘤は中分化型管状腺癌であり,腫瘤表面は一部線維組織に覆われていた.異型細胞は一部で心筋に浅く浸潤しており,膵癌心転移と診断.また,肺動脈,門脈には腫瘍栓を認めた.【考察】近年,悪性腫瘍に対する治療法の進歩に伴い,長期間生存する症例が増加したことから比較的稀であるとされてきた転移性心臓腫瘍が増加傾向にあると報告されている.しかしながら,膵癌の心転移はそのなかでも非常に稀であり,医学中央雑誌(1982~2012年)で「膵癌」「心転移」で検索したところ,本症例を含めて3例のみであった.
索引用語