セッション情報 | ポスター膵炎1 |
---|---|
タイトル | P-130:当院で経験した自己免疫性膵炎8例の検討―特に治療反応性とIgGとの関連について |
演者 | 荒畑 恭子(東京歯科大学市川総合病院消化器内科) |
共同演者 | 岸川 浩(東京歯科大学市川総合病院消化器内科), 伊藤 麻子(東京歯科大学市川総合病院消化器内科), 財部 紗基子(東京歯科大学市川総合病院消化器内科), 木村 佳代子(東京歯科大学市川総合病院消化器内科), 三好 潤(東京歯科大学市川総合病院消化器内科), 貝田 将郷(東京歯科大学市川総合病院消化器内科), 西田 次郎(東京歯科大学市川総合病院消化器内科) |
抄録 | 【目的】自己免疫性膵炎は自己免疫が発症に関与しステロイドが著効する膵の炎症性疾患である.今回我々は特にステロイドによる治療反応性と血清IgGの推移の関連について着目し検討したので報告する.【方法】当施設にて2007年以降に経験し2011年に改正された自己免疫性膵炎診断基準に基づいて疑診以上と診断された8例の臨床背景について検討し,その治療反応性とIgGとの関連について検討した.【結果】症例は男性5例,女性3例,平均年齢64.9±13.2歳,初発症状は黄疸4例,腹痛,糖尿病の増悪,高IgG4血症,胃潰瘍経過観察中に偶然発見された症例が各1例であった.8例の全例が膵のびまん性腫大を認めていた.主膵管の不整狭細像が認められた症例は7例であった.高IgG4血症(135mg/dl以上)を認めた症例は5例,3例に硬化性胆管炎の合併を認めた.ステロイドは6例に投与され,すべての症例で著効した.この結果,診断基準に基づく“確診”は7例,“疑診”は1例となった.抗核抗体は2例にて160倍以上となっており,IgGは3例で2000mg/dlを呈していた.また画像上,特徴的とされる“marginal rim sign”を認めた症例は3例であった.ステロイド治療後のIgGは前後で測定し得た6例すべての検討では2077.2±883.1mg/dlから1144.8±106.9mg/dlに有意に低下した(p<0.05).ステロイド投与前のIgGが高値(2000mg/dl以上)の3例では2676.0±916.2mg/dlから1069.3±71.2mg/dlと有意に低下したが(p<0.05),IgG正常例では1478.3±185.1mg/dlから1220.3±80.3mg/dlと低下傾向にはあったが統計学的に有意差は認めなかった(p=0.09).【結語】我々の施設の症例では諸家の報告と比較して,びまん性膵腫大の割合が高く,高IgG血症と抗核抗体の陽性率,膵外病変の割合がやや低い傾向にあった.また血清IgGは診断時に高値(2000mg/dl以上)である場合のみステロイドによる治療反応性のマーカーとして有用である可能性があると考えられた. |
索引用語 |