セッション情報 ポスター

膵炎2

タイトル P-139:

内視鏡的膵管ドレナージによって軽快したGroove pancreatitisの一例

演者 濱田 隼一(帯広第一病院消化器内科)
共同演者 友田 博行(帯広第一病院消化器内科), 眞坂 智寛(帯広第一病院消化器内科), 堀井 享(帯広第一病院消化器内科), 三関 哲矢(帯広第一病院消化器内科), 奥 隆臣(帯広第一病院消化器内科)
抄録 【諸言】Groove pancreatitisとは,膵頭部,十二指腸下行部,総胆管に囲まれたgroove領域に限局して見られる特殊な膵炎であり,膵副乳頭の閉塞が発症の一因とされている.保存的加療に抵抗性であるか,あるいはGroove膵癌が否定できない場合には膵頭十二指腸切除が選択される.今回我々は内視鏡的膵管ドレナージによって良好な治療効果を得たGroove pancreatitisの一例を経験したので報告する.【症例】67歳の男性.1週間前から続く腹部膨満感,嘔吐,食欲不振を主訴に当院を受診した.血液検査所見上炎症反応及び膵酵素値が上昇しており,腹部造影CTにてGroove領域に造影効果の乏しい辺縁不正な軟部組織と主膵管の拡張を認めた.EUSにてGroove領域に明らかな腫瘤性病変を認めなかった.以上よりGroove pancreatitisと診断した.保存的加療によって症状が軽快したが食事再開により膵炎の再増悪及び十二指腸狭窄による嘔吐が出現した.ERCPを施行したところ,主膵管からの造影にて副膵管の異常拡張と主膵管の狭窄及び尾側膵管の拡張を認めた.主膵管にENPDを留置したところ症状は軽快した.膵管ステント(EPS)へ入れ替えた後,再増悪を認めない.【考察】Groove pancreatitisの治療は悪性腫瘍との鑑別が重要となる.悪性腫瘍が否定的であり,尚且つ主膵管の狭窄及び尾側膵管の拡張を起こしていた本症例に対して膵管ドレナージは良い適応であったと考えられた.これまでの本邦における本疾患の報告では内視鏡的治療の奏功例は極めて少ない.今回我々が本症例に対して内視鏡的治療を選択し,尚且つ良好な結果を得るに至った経過を文献的考察も加えながら報告する.
索引用語