セッション情報 ポスター

臨床病態-1

タイトル P-145:

超小型超音波診断装置(Vscan)の消化器疾患領域での有用性について

演者 植竹 知津(獨協医科大学越谷病院消化器内科)
共同演者 中元 明裕(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 須田 季晋(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 北濱 彰博(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 草野 祐実(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 関山 達彦(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 寺内 厳織(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 豊田 紘二(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 片山 裕視(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 玉野 正也(獨協医科大学越谷病院消化器内科)
抄録 【目的】手のひらサイズの超小型超音波診断装置(GE社製Vscan)は,在宅医療や救急医療の場において幅広く使用されているが,消化器領域における有用性について検討した報告は少ない.今回我々は,消化器疾患診断におけるVscanの有用性について検討した.【方法】臨床的に診断が確定しており,汎用腹部超音波診断装置にて病変が良好に描出された225例を対照とした.対照の内訳は,びまん性肝疾患75例,肝内占拠性病変60例,胆嚢疾患57例,胆道膵疾患17例,その他16例であった.通常の超音波検査後にVscanを用いて同病変を観察して所見を比較した.【結果】Vscanはセクタ型探触子であるため体表近くの病変や肝表面,肝辺縁の観察が不充分であった.したがって,びまん性肝疾患における線維化進展度の推測は困難であったが,脂肪肝における肝腎コントラストの描出は良好であった.一方で,肝硬変症例の腹水,脾腫,側副血行路の描出は比較的良好であった.肝占拠性病変では,肝嚢胞は比較的良好に描出されたが,肝血管腫・肝細胞癌や転移性肝腫瘍の鑑別は困難であった.胆嚢においては,頚部や体部の病変は描出可能だが底部病変の多くは描出不能であり,胆嚢全体の評価は困難であった.胆道膵疾患のうち,胆道閉塞を呈した症例は全例がVsvanで診断可能であった.【結論】Vscanは体表近くの所見を観察することと,肝内腫瘍性病変の質的診断は困難である.一方で,肝嚢胞,脂肪肝および閉塞性黄疸の拾い上げは可能であり,臨床の現場ではこれらの特性を理解したうえで使用することが重要である.
索引用語