セッション情報 ポスター

症例胃癌2

タイトル P-154:

化学療法が著効した高齢(80歳以上)切除不能胃癌の2例

演者 大森 順(日本医科大学消化器内科学)
共同演者 河越 哲郎(日本医科大学消化器内科学), 丸木 雄太(日本医科大学消化器内科学), 飽本 哲兵(日本医科大学消化器内科学), 山脇 博士(日本医科大学消化器内科学), 山田 章善(日本医科大学消化器内科学), 小高 康裕(日本医科大学消化器内科学), 名児耶 浩幸(日本医科大学消化器内科学), 新福 摩弓(日本医科大学消化器内科学), 植木 信江(日本医科大学消化器内科学), 楠 正典(日本医科大学消化器内科学), 二神 生爾(日本医科大学消化器内科学), 三宅 一昌(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 80歳以上の高齢者の切除不能進行胃癌における化学療法の有用性は不明である.今回我々は80歳以上の高齢胃癌症例に化学療法を行い良好な結果を得た2例を経験したので報告する.(症例1)81歳男性.体重減少,胃痛を主訴に来院.既往歴は高血圧,高脂血症.精査の結果,胃癌(M,Gre,Type3,tub2,cT4a,cN2,cM1(PUL),cP0,CYX,cH1,cStageI∨)と診断された.PS0で臓器機能が保たれ,本人の同意が得られたため,治療としてS-1+CDDP(60mg/m2)を開始した.S-1+CDDP6コース施行後S-1(80m/日)単独治療(1コースは4投2休,その後は2投2休)計10コース施行で臨床的CR判定となった.G3以上の有害事象は好中球減少,血小板減少,貧血,発熱性好中球減少症,肺炎であった.その後,無治療で自然経過をみているが,現在,発症から5年経過し無再発の状態である.(症例2)86歳男性.主訴は黒色便.既往は高血圧,タンパク尿.診断は胃癌(L,Less,Type3,por/sig,sT4a,sN3a,sM1(LYM),sP1,CY0,cH0,sStageI∨).高度幽門部狭窄を伴っていたため胃空腸吻合術施行後,PS0で臓器機能が保たれ,本人の同意が得られたため,化学療法施行.S-1+lowdoseCDDP2コース後1年間S-1単独治療を施行した.効果はnealy CRであった.G3以上の有害事象として難治性腹水(1Wに1回の穿刺が必要)を伴う肝硬変,倦怠感を認めた.その後,化学療法なしで経過をみているが,腹水も投薬でコントロール可能となり,現在,発症から6年経過し胃癌はわずかに増大しつつあるものの生存中である.(結論)80歳以上の高齢切除不能胃癌であってもS-1ベースの化学療法で長期生存が望める可能性が示唆されたが,有害事象も甚大であり,治療に当たっては十分慎重に行う必要がある.
索引用語