セッション情報 ポスター

症例胃癌2

タイトル P-156:

高度腹水を伴うまたは経口摂取不能の腹膜転移を有する治癒切除不能進行・再発胃癌に対する当院での治療選択

演者 坂井 文(兵庫県立がんセンター消化器内科)
共同演者 津田 政広(兵庫県立がんセンター消化器内科), 武川 直樹(兵庫県立がんセンター消化器内科), 澤井 寛明(兵庫県立がんセンター消化器内科), 三村 卓也(兵庫県立がんセンター消化器内科), 櫛田 早絵子(兵庫県立がんセンター消化器内科), 津村 英隆(兵庫県立がんセンター消化器内科), 坂本 岳史(兵庫県立がんセンター消化器内科), 飛松 和俊(兵庫県立がんセンター消化器内科), 山本 佳宣(兵庫県立がんセンター消化器内科), 三木 生也(兵庫県立がんセンター消化器内科), 井口 秀人(兵庫県立がんセンター消化器内科)
抄録 【背景・目的】切除不能進行・再発胃癌に対する標準治療はTS-1+シスプラチン療法(CS療法)であるが,経口摂取不能または大量腹水を有する腹膜転移例は標準治療が存在せず,治療開発が求められている.今回当院で化学療法を行った,経口摂取不能または大量腹水を有する腹膜転移例について検討した.【対象と方法】2006年4月から2013年8月まで当院で診断し,一次治療を行った31例について患者背景,全症例の治療成績,症状別治療成績を後方視的に検討した.【成績】年齢中央値は58歳(29-76),男性/女性:18/13,PS 0-1/2/3:16/14/1,原発巣あり/なし:26/5,分化型/未分化型/不明:3/26/2,腹水なし/少量/中等量/高度:8/5/0/18,大量腹水/経口摂取不能/両方:15/13/3であった.1次治療は5-FU持続/5-FU+LV/5-FU+MTX/Paclitaxel(PTX)/S-1/S-1+docetaxel:2/6/6/7/5/5であった.観察期間中央値117日(6-896),1次治療の治療成功期間中央値68日,全生存期間中央値269日と既報と同様不良であった.2次治療移行率は55%(17/31),腹水奏功率は26%(6/23),経口摂取改善率は38%(6/16)であり,大量腹水かつ経口摂取不能例で改善例はみられなかった.経口摂取不能例16例に注目すると,一次治療は5-FU持続/5-FU+LV/5-FU+MTX/PTX:2/5/4/5であった.5-FU群(5-FU持続/5-FU+LV/5-FU+MTX,n=11),PTX群(n=5)に分けて比較すると,PTX群で年齢が若い傾向にあった.各々の全生存期間中央値は896日,119日であり5-FU群の方が良好な結果であった.【まとめ】経口摂取不能または大量腹水を有する腹膜転移症例に対する化学療法の成績は既報と同様に悪く,予後不良だった.治療開発が急がれる対象であり,現在JCOGでも新たな臨床試験が開始され,今後の展開に期待される.
索引用語