セッション情報 | ポスター胃ESD |
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タイトル | P-157:ESD症例からみた胃癌に対するABC分類の妥当性と問題点 |
演者 | 菊地 眸(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座) |
共同演者 | 引地 拓人(福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部), 佐藤 匡記(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 渡辺 晃(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 高木 忠之(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 杉本 充(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 藁谷 雄一(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 紺野 直紀(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 小原 勝敏(福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科学講座) |
抄録 | 【目的】近年,血清のH. pylori(HP)抗体価とペプシノゲン(PG)値を用いた分類(ABC分類)が,胃癌のリスク分類として有用であると提唱されている.そこで,当院の胃ESD症例の血清のHP抗体価とPG値からABC分類の妥当性と問題点を検証した.【方法】2012年11月から2013年8月までに,術前に血清のHP抗体価とPG値を測定し,ESDを施行した胃癌80例のうち,PPI服用例を除いた43例を対象とした.ABC分類は既報に則り,A群(HP陰性,PG陰性),B群(HP陽性,PG陰性),C群(HP陽性,PG陽性),D群(HP陰性,PG陰性),E群(HP除菌例)に分類し,患者背景,ABC分類別の割合,A群症例の特徴をretrospectiveに検討した.なお,血清HP抗体価は10 U/ml以上を陽性,PG値はPG I≦70 ng/mlかつPG I/II比≦3を陽性と定義した.【結果】平均年齢(±SD)は73.2±8.8歳であり,性別は男性30例,女性13例であった.組織型は,分化型41例,未分化型2例であった.各群の割合は,A群4例(9.3%),B群2例(4.7%),C群25例(58.1%),D群7例(16.3%),E群5例(11.6%)であった.A群のPG Iは34.2±17.9 ng/ml,PG I/II比は4.2±0.5であり,PG値陰性の判定を決定していたのは4例全例でPG I/II比であった.また,A群の中で,HP抗体価が3 U/ml未満であった症例は3例であった.背景胃粘膜は,4例全例で内視鏡的な萎縮性胃炎を認め,胃癌の組織型は全てtub1とtub2であった.なお,4例中他のHP感染診断で陽性であった症例が1例あった.【結論】胃癌ESD症例の9.3%がA群であった原因として,HP除菌例やHP自然消退例,HP抗体偽陰性の可能性が考えられた.従って,「A群=HP未感染」とは言えない症例があり,胃癌検診にABC分類を導入する際には,除菌歴の問診と,少なくとも一度は萎縮の判定のために画像検査を施行することが望ましいと思われた. |
索引用語 |