セッション情報 |
ポスター
食道症例1
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タイトル |
P-162:食道表在癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後に感染性心内膜炎を発症した1例
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演者 |
梶 喜一郎(国立病院機構金沢医療センター消化器科) |
共同演者 |
丸川 洋平(国立病院機構金沢医療センター消化器科), 大和 雅敏(国立病院機構金沢医療センター消化器科), 羽柴 智美(国立病院機構金沢医療センター消化器科), 林 智之(国立病院機構金沢医療センター消化器科), 矢野 正明(国立病院機構金沢医療センター消化器科), 太田 肇(国立病院機構金沢医療センター消化器科) |
抄録 |
【はじめに】我々は肝硬変を背景に持つ表在食道癌症例に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行し,感染性心内膜炎(IE)を発症した1例を経験したので報告する.【症例】68歳男性.C型肝硬変にて近医通院中,上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道に10mmのびらんを認め,精査のため当科紹介となった.NBI併用拡大観察および病理診断よりT1a-EP/LPMの食道癌と診断しESDを施行した.切除時間は20分で術中合併症はなく終了し,治癒切除が得られた.経過良好にてESD7日後に退院したが,退院2日後(ESD9日後)に38度の発熱にて当院へ救急搬送された.来院時,バイタルサインや酸素化に異常なく,血液検査所見にて炎症反応上昇と胸部X-pにて心拡大,胸部CTにて両肺野背側末梢に索状陰影と少量胸水を認めた.心不全を合併した肺炎と診断し,入院による加療を開始したが,病状は改善せず徐々に呼吸状態が悪化した.ESD15日後の心臓超音波検査では高度の僧帽弁閉鎖不全があり,僧帽弁基部に疣贅を認め,血液培養にて黄色ブドウ球菌が検出されたことから僧帽弁閉鎖不全に伴うIEと診断し,ESD19日後に僧帽弁置換術を施行し救命しえた.【考察】ESD後にIEを合併した症例は検索しうる限り胃癌症例にて1例のみの報告で稀と考えられる.しかし,食道ESDに菌血症を合併する頻度は不明であるが,食道狭窄拡張術で45%,食道静脈瘤硬化療法で31%という報告もあり,食道内視鏡処置に菌血症を合併する頻度は高いと考えられる.本例では基礎疾患として肝硬変を有しており,IE発症に関与した可能性も考えられる.【結語】基礎疾患を有する食道ESDでは術後にIEを合併する可能性を考慮し,術前の胸部聴診や心エコー検査による基礎心疾患のスクリーニングを行う必要性が示唆された. |
索引用語 |
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