セッション情報 | ポスター膵 良性腫瘍 |
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タイトル | P-170:早期発見された膵グルカゴノーマの1例 |
演者 | 増尾 謙志(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科) |
共同演者 | 長尾 宗政(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 正木 翔(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 北村 悟(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 斎田 宏(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院消化器センター消化器内科) |
抄録 | 症例は39歳男性.既往歴に特記事項なし.平成23年10月に健診で施行した腹部超音波検査で膵嚢胞を指摘され精査目的に近医を受診した.腹部造影CTおよび腹部造影MRIを施行し最終的には膵腫瘍と診断され,更なる精査のため平成24年2月に当院へ紹介となった.腹部超音波検査では膵体部に25mm×14mmの低エコー腫瘤を認め,造影超音波検査では早期相で腫瘤の辺縁や内部が局所的に染影された.腹部造影CTでは膵体部に動脈相で早期濃染され平衡相では低濃度となる20mm大の腫瘤を認め,造影MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈していた.CTおよびMRIでは尾側の主膵管拡張や膵萎縮は認めず,明らかな遠隔転移は認めなかった.EUSでは膵体部に20mm×16mmの低エコー腫瘤として描出された.FDG-PETでは腫瘤への異常集積は認めなかった.また,血中グルカゴン:300 pg/mlと上昇しており,またHbA1c(JDS):8.2%と高値を認めた.以上から膵神経内分泌腫瘍(グルカゴノーマ)が疑われた.平成25年3月に尾側膵亜全摘術が施行され,病理組織診断では異型を伴う多稜形細胞が充実性胞巣や索状・リボン状配列で結節を構成し,免疫染色ではchromograninA,synaptophysin,CD56,glucagonで陽性であった.核分裂像数は2-3/10HPF,Ki-67指数≦2%であり,glucagon産生性の神経内分泌腫瘍(NET G2)と考えられた.また,術後には血中グルカゴン:54 pg/mlと低下を認めた.皮疹や体重減少,貧血などの症状は認めなかったが,腫瘍のグルカゴン過剰産生が糖尿病の一因と考えられグルカゴノーマと診断した.グルカゴノーマは膵神経内分泌腫瘍全体の約5%で全国実態調査(平成17年)では25例を認める極めて稀な疾患であり,また診断時に巨大な腫瘍や遠隔転移を認めることも少なくない.今回,早期発見されたグルカゴノーマの症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |