セッション情報 ポスター

膵 悪性腫瘍1

タイトル P-176:

膵石の近傍に発生した浸潤型膵癌の2例

演者 藤井 雅邦(岡山済生会総合病院内科)
共同演者 山田 元彦(岡山済生会総合病院外科), 河原 聡一郎(岡山済生会総合病院内科), 岡本 雄貴(岡山済生会総合病院内科), 石原 裕基(岡山済生会総合病院内科), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院内科), 關 杏奈(岡山済生会総合病院内科), 金藤 光博(岡山済生会総合病院内科), 齋藤 玄哲(岡山済生会総合病院内科), 村上 尚子(岡山済生会総合病院内科), 伊藤 守(岡山済生会総合病院内科), 石山 修平(岡山済生会総合病院内科), 川上 万里(岡山済生会総合病院内科), 藤原 明子(岡山済生会総合病院内科), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院内科), 仁熊 健文(岡山済生会総合病院外科), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院内科), 三村 哲重(岡山済生会総合病院外科)
抄録 膵石合併慢性膵炎は膵癌を高率に合併するが,診断困難な例も多い.膵石合併慢性膵炎に発生した浸潤型膵癌の2例を報告する.症例1は50歳代男性.アルコール性慢性膵炎経過観察中に,腫瘍マーカーが高値となり当科紹介となった.腹部CT検査で,膵頭部に20×14mm大の造影効果を伴う腫瘤を認めた.腫瘤近傍に約20×10mm大の膵石があり,主膵管は10mm大に拡張していた.ERCPは膵石のやや乳頭側に狭窄所見を認めたが,膵液細胞診は悪性所見を認めず.EUSでは,膵石の近傍に境界不明瞭な約15mm大の低エコー腫瘤を認めた.PETCT検査でも同部に異常集積があり,膵石近傍に発生した浸潤型膵癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断はT2N1M0 stage3の浸潤型膵癌であった.症例2は70歳代男性.アルコール性慢性膵炎の経過観察中に,腹痛のため腹部CT検査を施行したが,腫瘍性病変は指摘されなかった.6日後に胆管炎を来し当科紹介となった.CT検査を再検し,拡張した主膵管内に多数の膵石があり,膵石合併慢性膵炎を認めた.胆管は拡張し,膵頭部に約18mm大の境界不明瞭な造影効果を伴う腫瘤が疑われた.ERCPでは中部胆管に狭窄を認めたが,擦過細胞診はclass3であった.EUSでは,膵頭部の膵石近傍に低エコー腫瘤が疑われた.EUS-FNAを施行したが悪性所見を得ることはできなかった.症例1と同様に膵石近傍に発生した浸潤型膵癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断はT3N0M0 stage3の浸潤型膵癌であった.膵石合併慢性膵炎に膵癌が発生した場合は,慢性炎症のため腫瘤が不明瞭となり,また間接所見として得られる膵管拡張を膵石によるものと判断しやすく,膵癌を見逃す危険性があり注意が必要である.
索引用語