セッション情報 ポスター

膵 悪性腫瘍2

タイトル P-180:

当院で経験した転移性膵腫瘍の検討

演者 三浦 広嗣(伊勢赤十字病院消化器内科)
共同演者 川口 真矢(伊勢赤十字病院消化器内科), 伊藤 達也(伊勢赤十字病院消化器内科), 村林 桃士(伊勢赤十字病院消化器内科), 高見 麻佑子(伊勢赤十字病院消化器内科), 山本 玲(伊勢赤十字病院消化器内科), 山村 光弘(伊勢赤十字病院消化器内科), 東谷 光庸(伊勢赤十字病院消化器内科), 大山田 純(伊勢赤十字病院消化器内科), 福家 博史(伊勢赤十字病院消化器内科)
抄録 【目的】転移性膵腫瘍の頻度は膵悪性腫瘍全体の5%未満と比較的稀で,原発性膵腫瘍か転移性膵腫瘍かの鑑別診断は必ずしも容易ではない.今回,当院で経験した転移性膵腫瘍について,診断の過程につき検討した.【対象】2007年10月から2013年9月までに当院で経験した転移性膵腫瘍6例.男女比4:2,平均年齢は69.3(62~82)歳,原発巣は肺癌2例,腎細胞癌3例,悪性線維性組織球腫1例.【結果】発見の契機は黄疸が2例,肝機能異常が1例,他疾患フォロー中のCTで偶然指摘されたものが3例であった.膵転移巣は多発2例,単発4例であった.造影CTを施行した5例では腎細胞癌の膵転移は多血性で,肺癌および悪性線維性組織球腫は乏血性であった.MRIを施行した5例ではいずれも境界明瞭でT1低信号,T2高信号であった.病理診断がついた5例の診断方法は,手術1例,超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)3例,EUS-FNA+内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)下擦過細胞診1例であった.【結論】転移性膵腫瘍の画像上の性質は基本的には原発巣と同様で,肺癌と悪性線維性組織球腫は乏血性,腎細胞癌は多血性であった.乏血性腫瘍では膵癌との鑑別が重要となるが,転移性膵腫瘍では造影CTにて境界明瞭な膨張性発育を示すこと,膵管からの発生ではないためERPで膵管像に変化を来しにくいことが鑑別点として挙げられる.多血性腫瘍では膵神経内分泌腫瘍との鑑別が重要となり,非機能性もしくは原発巣切除からの期間が長い場合には鑑別はより困難となる.また,たとえ転移性膵腫瘍でも原疾患によっては膵切除の対象となるため,可能な限りEUS-FNAによる病理診断が必要であると思われた.
索引用語