セッション情報 ポスター

膵 悪性腫瘍2

タイトル P-181:

閉塞性黄疸,急性膵炎で発症した悪性リンパ腫の2例

演者 藤田 基和(豊橋市民病院消化器内科)
共同演者 浦野 文博(豊橋市民病院消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院消化器内科), 鈴木 博貴(豊橋市民病院消化器内科), 木下 雄貴(豊橋市民病院消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院消化器内科)
抄録 【背景】膵悪性リンパ腫(ML)は節外性MLの1.6~2.2%,膵悪性腫瘍の1~2%以内の稀な腫瘍である.膵腫瘍は腫瘍が大きい場合,周囲リンパ節と一塊となり,原発部位が判断困難な症例も多い.今回,膵頭部に腫瘤を形成し,閉塞性黄疸で発症したMLの2例を経験したので報告する.【症例1】45歳女性.心窩部痛,白色便を認め当院受診.膵酵素上昇と黄疸,肝胆道系酵素の上昇を認め,CTで膵頭部に境界明瞭な腫瘤を,ERCで総胆管は平滑な狭窄をきたしていた.膵癌が否定できず膵頭十二指腸切除術を施行し,病理結果はML,diffuse large cell type,B cell typeであった.Lymphoma cellの分布より膵原発と考えた.R-CHOP療法を施行し寛解状態となった.【症例2】63歳男性.上腹部痛で近医を受診し,黄疸を指摘され当院を紹介.MRCPで中部胆管の狭窄と上流側の胆管拡張を,CTで膵頭部と胃周囲に腫瘤を認め,膵頭部腫瘤による閉塞性黄疸と診断した.ERCPでは主膵管と下部胆管に平滑な狭窄を認め,腫瘤形成性膵炎やMLを疑い,生検施行後にERBD挿入し減黄された.生検病理でML,diffuse large cell type,B cell typeの結果であり,R-CHOP療法施行し,寛解状態となった.【考察】膵MLは膵頭部に多いとされ,本症例2例とも膵頭部であった.画像的には造影効果の少ない均一な充実性腫瘤を呈することが多く,本症例も合致していた.MRIは膵癌が通常T2強調像で低信号を呈するが,MLでは低~高信号のいずれも呈し,鑑別に有用とされている.しかし画像のみで確定診断は困難とされており,組織検査が重要である.症例1でもEUS-FNA等による組織検査を施行していれば不要な外科手術が避けられた可能性が高く反省点であった.MLとその他の膵腫瘍では治療方針が大きく異なるため,確定診断は重要であり,本症例の様な平滑な膵管狭窄を伴う均一な充実性腫瘤の場合,MLも鑑別に挙げる必要性があると考えられた.
索引用語