セッション情報 ポスター

膵 悪性腫瘍2

タイトル P-182:

膵悪性リンパ腫の1例

演者 水谷 泰之(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター)
共同演者 大塚 裕之(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター), 田中 浩敬(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター), 藤塚 宜功(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター), 石川 英樹(公立学校共済組合東海中央病院消化器内視鏡センター)
抄録 患者は86歳男性.主訴:食欲不振.現病歴:2013年8月近医より左記主訴にて紹介受診され,腹部CT撮影したところ膵腫瘤,肝腫瘤を認めたため精査目的で入院となった.既往:非定型性好酸菌症,拘束性障害のため在宅酸素療法中(酸素1L),糖尿病.血液生化学検査:血清アミラーゼ329IU/l,可溶性IL2レセプター抗体:795U/mlと高値を示し,CEA,CA19-9は正常値であった.入院時胸部Xp;縦隔,肺門に明らかな腫瘤を認めず,右下肺野に非定型抗酸菌症による器質影を認めた.腹部超音波検査:辺縁平滑,内部均一な低エコー腫瘤を膵頭部,体部に認めた.また肝臓S2に比較的境界明瞭な低エコー腫瘤影を認めた.腹部造影CT:頭部に体尾部に2ヶ所,体部に1ヶ所,尾部に1ヶ所,境界が比較的明瞭な25mm大の円形腫瘤を認めた.腫瘤は造影早期から後期につれて軽度の濃染を示した.また,肝臓のS2に同様に濃染される16mm大の腫瘤を認めた.EUS:膵に境界明瞭で内部均一な腫瘤を認め,腫瘤内部に血管の貫通所見を認めた.MRCP:下部胆管は膵頭部の腫瘤によって圧排されていたが辺縁は整であった.主膵管に悪性狭窄を認めなかった.以上の画像所見から膵悪性リンパ腫が疑われ,確定診断目的でEUS-FNAを施行した.病理組織所見;大型のLymphoma cellsの浸潤増殖を認めた.免疫組織学的にlymphoma cellはCD20(+),CD3(-),CD5(-),CD10(-),でありB-cell typeのMalignant lymphomaの所見であった.後日撮影したガリウムシンチで縦隔のリンパ節に集積を認めた.在宅酸素療法を施行しており歩行は可能であるがADLが悪いことからEX+PSLのみの緩和的な抗癌剤治療を開始し,現在も外来通院されている.膵悪性リンパ腫は節外性リンパ腫の1.6~2.2%であり,膵悪性腫瘍の0.16~4.6%とまれな疾患である.今回我々は膵悪性リンパ腫の一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語