セッション情報 ポスター

小腸1

タイトル P-188:

炎症性腸疾患患者に対する抗TNF-α抗体製剤投与中の肝機能障害の特徴について

演者 荒木 学(大阪大学大学院消化器内科学)
共同演者 澁川 成弘(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 飯島 英樹(大阪大学大学院消化器内科学), 川井 翔一朗(大阪大学大学院消化器内科学), 白石 衣里(大阪大学大学院消化器内科学), 日山 智史(大阪大学大学院消化器内科学), 井上 隆弘(大阪大学大学院消化器内科学), 新崎 信一郎(大阪大学大学院消化器内科学), 西田 勉(大阪大学大学院消化器内科学), 井上 敦雄(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 辻井 正彦(大阪大学大学院消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学大学院消化器内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患患者に対し,抗TNF-α抗体製剤[Infliximab(IFX),Adalimumab(ADA):以下,抗体製剤]が多く使われるようになったが,抗体製剤投与中の肝機能障害の詳細は不明である.そこで,抗体製剤投与中の炎症性腸疾患患者における肝機能障害の特徴について検討することを目的に検討を行った.【方法】2013年8月までに抗体製剤を投与されたクローン病(CD)患者49例,潰瘍性大腸炎(UC)患者7例について肝機能障害を後方視的に調査した.導入時の平均年齢は35.6(15-70)歳であった.AST,ALT,ALP,γ-GTP値のいずれかが異常値となったものについて,Type1;抗体製剤導入後,速やかに基準値内まで改善するもの,Type2;時折高値を示すも特に治療を要さず改善するもの,Type3;急性肝障害を呈し治療介入を要するものの3群に分類した.【結果】抗体製剤投与前後で肝機能障害を認めた患者は,全体で55.4%(31/56),CD患者57.1%[28/49;(IFX 23例,ADA 5例)],UC患者42.9%[(3/7);IFX 3例]であり,導入時に肝機能障害を来していた症例は16例であった.HBs抗原陽性例はなく,HCV抗体陽性例を1例認めたが,HCV-RNAは観察期間中,測定感度以下であった.肝機能障害の分類はType 1,2,3,それぞれ7例,22例,2例であった.Type3の2例はともにCD患者で,一例はIFX投与患者でウルソデオキシコール酸の約1か月間の投与にて,もう一例はADA投与患者で投与間隔を3週間毎に延長することにより肝機能障害は改善した.肝機能障害による治療中止例は認めなかった.【結論】肝機能障害を認めても,長期的にみればほとんどの症例が治療介入を要さず改善し,抗体製剤は継続可能であった.また,抗体製剤投与中に肝機能が改善する症例もあり,その機序について今後の検討が必要である.
索引用語