セッション情報 ポスター

小腸2

タイトル P-193:

後期高齢者における腸閉塞診療の問題点とチーム医療による偶発症予防介入効果

演者 鈴木 康秋(名寄市立総合病院消化器内科)
共同演者 井尻 学見(名寄市立総合病院消化器内科), 芹川 真哉(名寄市立総合病院消化器内科), 杉山 祥晃(名寄市立総合病院消化器内科), 佐藤 龍(札幌東徳洲会病院消化器内科)
抄録 【はじめに】高齢の腸閉塞患者の診療では,脱水,せん妄や認知症によるコンプライアンスの低下,嘔吐による誤嚥性肺炎,などが問題点として考えられる.今回我々は,後期高齢者におけるこれらの問題点を検討し,その結果をふまえチーム医療により偶発症予防介入を行ったので報告する.【対象】2012.4~13.1月に,イレウス管または胃管等の減圧チューブを挿入した腸閉塞患者26例.後期高齢者(高齢者群)15例(77-97:平均85.5歳)と75歳未満(対照群)11例(41-74:平均59.0歳)に分け比較検討した.【検討項目】入院時血清BUN値,イレウス管挿入所要時間,偶発症,イレウス管自己抜去,誤嚥性肺炎合併について検討した.なおイレウス管は全例経鼻内視鏡補助下で挿入した.【結果】1,入院時血清BUN値は,高齢者群(24.4)と対照群(19.3)で有意差を認めなかったが,BUN上昇率(入院時/通常時比)は高齢者群1.8,対照群1.3で高齢者群が高かった.2,イレウス管挿入所要時間は,高齢者群(22.5分),対照群(37分)で高齢者群の方が短かった.3,イレウス管自己抜去は,対照群は2例(18%),高齢者群では7例(47%)に認め,挿入後平均3.8日後に抜去されていた.4,誤嚥性肺炎は,対照群は1例(9%),高齢者群では8例(53%)に認めた.【偶発症予防介入】以上より後期高齢者ではイレウス管自己抜去率が高く,偶発症のリスクになるため,2013.4月以降入院の後期高齢者6例に対しては,看護師と協力し,挿入後4日間は監視や声かけを密にするなど積極的な自己抜去予防介入を行った.その結果,自己抜去は1例のみ(17%)と減少した.【結語】後期高齢者の腸閉塞診療では,1)脱水をきたしやすい,2)せん妄や認知症によるコンプライアンスの低下(イレウス管自己抜去),3)誤嚥性肺炎をきたしやすい,などが問題となる.特に,イレウス管自己抜去は重篤な偶発症のリスクになるため,チーム医療により予防介入を行い成果が得られた.
索引用語