セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍 症例1

タイトル P-194:

85歳以上超高齢者胃・大腸癌の治療成績と問題点

演者 中山 剛一(久留米大学医療センター外科)
共同演者 三原 勇太郎(久留米大学医療センター外科), 山口 圭三(久留米大学医療センター外科), 亀井 英樹(久留米大学医療センター外科), 石橋 生哉(久留米大学医療センター外科), 内田 信治(久留米大学医療センター外科), 緒方 裕(久留米大学医療センター外科), 白水 和雄(久留米大学外科)
抄録 (はじめに)超高齢者の胃・大腸癌の適切な治療法の確立を目的に,自験例の術後成績を検討した.(対象と方法)2007年1月から2011年12月までに手術を行った85歳以上超高齢者の初発胃・大腸癌26例を対象とし,術前後の合併症,術式,予後を検討しその問題点を考察した.(結果)胃癌6例,大腸癌21例で,男性10例であった.年齢は平均87.5歳で最高齢は101歳であった.術式は,胃癌では,幽門側胃切除術2例,胃空腸バイパス術1例,胃全摘出術1例,胃全摘出術+膵尾部切除+脾臓摘出術1例,腹腔鏡下胃楔状切除術1例であった.大腸癌では,開腹結腸切除術が7例,腹腔鏡下結腸切除術が13例,ストーマ造設術のみが1例であった.根治手術は21例で姑息手術は5例(重複)であった.姑息手術となった理由は認知症5例,PS4が3例,穿孔性腹膜炎1例,高度遠隔転移2例,リンパ節遺残2例であった.根治手術・姑息手術施行例ともに周術期死亡は認めなかったが,姑息手術例では1例をのぞき術後1年以内に原癌死した.術前後のADLにおいては,根治手術を行った1例のみにADL低下を認めたが,そのほかの症例のADLはほぼ不変であった.26例の術後合併症(重複あり)として,せん妄を4例,SSIを2例,術後イレウスを2例,誤嚥性肺炎1例,胆嚢炎を1例,膵液漏を1例に認めたが,腹膜炎の1例を除くと,術前合併症の有無と程度,術式,年齢との明らかな関連は認めなかった.(結語)85歳以上の超高齢者の悪性腫瘍に対する治療では,患者の術前合併症や耐術能及び癌の進行度を的確に評価しつつ,患者の社会的背景を考慮し過不足のない外科治療を選択することが肝要である.高齢者であっても多くの症例で耐術可能であり,幽門側胃切除や結腸切除による根治術が勧められる.また,ストーマ造設術やバイパス術などの姑息手術を行うことで,症状緩和やQOL向上が期待できる.
索引用語