セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍 症例1

タイトル P-196:

穿孔をきたした大腸原発絨毛癌が示唆された1例

演者 信岡 祐(三重中央医療センター外科)
共同演者 草深 智樹(三重中央医療センター外科), 武内 泰司郎(三重中央医療センター外科), 谷川 寛自(三重中央医療センター外科), 横井 一(三重中央医療センター外科)
抄録 大腸絨毛癌は稀な組織型とされている.今回我々は,大腸穿孔を来した大腸絨毛癌が示唆された1例を経験したので報告する.症例は60歳男性.約1週間前より38度台の発熱あり,近医受診.抗生剤の処方をうけ,経過観察していたが,症状の改善なく当院に紹介.来院時,体温は38.5度,左側腹部に軽度圧痛を認めるも,腹膜刺激症状は認めなかった.採血結果では,WBC 13320,CRP 20.9と高度の炎症反応を認めた.腹部CTにて下行結腸背側に膿瘍を認め,下行結腸の壁は肥厚していた.憩室穿孔,癌穿孔の判別は困難であり,まず膿瘍ドレナージ,抗生剤投与による保存的加療を行った.2週間後,膿瘍は著明に縮小も,大腸の壁肥厚は著明となり,大腸癌のrapid growthが疑われた.下部消化管内視鏡を行ったところ,下行結腸に3型腫瘍を認め,生検にてadenosquamous carcinomaの診断であった.以上より,大腸癌後腹膜穿孔の診断にて開腹左半結腸切除術施行.開腹所見では,腹水は認めず,明らかな腫瘍の漿膜面への露出も認めなかった,D3郭清を行い,できる限り,膿瘍腔を解放しないように腫瘍を切除した.術後経過は良好であった.術後病理組織検査にては強い核多型性を有し明るい細胞質を有する大型のcarcinomatous cell(cytotrophoblasts)がsolidに増殖し,Syncytial trophoblastsも混在していた.また,hCGβ染色で陽性,AFP染色では陰性であった.以上より,大腸絨毛癌と診断された.進達度se,PM0,DM0,RM0,INFb,ly1,v1,n0,stage IIで絨毛癌の診断された.この結果を受け測定した術前,術後のhCGは術前が376mIU/mlで術後1週間後199mIU/ml,術後1ヶ月後には正常範囲となっている.術後補助化学療法としては,婦人科 絨毛癌のregimenに準じて,EMA-CO療法を選択した,術後半年,無再発生存し,腫瘍マーカーも正常である.
索引用語