セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍 症例1

タイトル P-198:

漢方薬が発症に関与したと考えられる腸間膜静脈硬化症の2例―大腸癌合併例も含めて―

演者 高橋 一徳(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科)
共同演者 島谷 孝司(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科), 菊池 英純(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科), 伊藤 智子(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科), 金澤 浩介(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科), 田中 正則(弘前市立病院臨床検査科), 沼尾 宏(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科), 棟方 正樹(青森県立中央病院消化器内科・腫瘍内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座)
抄録 【はじめに】腸間膜硬化症(MP)は腸間膜静脈の硬化のため血流の還流障害をきたし生じるとされる.その原因は不明であるが,近年,漢方薬の山梔子(サンシシ)との関連が示唆されている.【症例1】70代女性.平成24年3月に右下腹部痛が出現し前医受診,当科紹介.CTで上腸間膜静脈の分枝の走行に一致し点状・線状の石灰化を認めた.注腸造影では上行から横行結腸に拇指圧痕像が見られた.TCSでは同部位に発赤,不整潰瘍を認め,粘膜は青色調であった.生検で粘膜固有層に硝子化を伴った線維化,及び毛細血管周囲の膠原線維の同心円状沈着が見られ,MPの診断となった.前医にて22年前から黄連解毒湯を服用しており中止した.現在症状の再燃は認めていない.【症例2】80代男性.平成24年10月より腹痛・嘔吐あり,前医受診.CTで上行から横行結腸の壁肥厚と上腸間膜静脈分枝の走行に一致し点状・線状の石灰化を認められ,当科紹介.TCSでは横行結腸に周囲粘膜との境界が不明瞭な,約半周性の浅い潰瘍を有する丈の低い隆起性病変が認められた.中心は陥凹しており,同部位はpitVNであった.また,盲腸から横行結腸に青色粘膜,発赤,不整潰瘍が認められ,生検ではtub1の腺癌を合併したMPの診断であった.40年来の黄連解毒湯を中止の上,当院外科にて結腸亜全摘術を施行.手術標本でp53はびまん性に陽性,β-catenin陰性,Ki67はtop-down typeで,de novo癌を疑う所見であった.【考察】当院症例では山梔子を配合する漢方薬が服用されていた.原因不明の腹痛症例では本疾患を念頭においた検査や詳細な薬剤投与歴の確認が必要である.また,症例2ではMPを母地とした癌の発生(colitic cancer)が示唆される所見であり,症例蓄積により関連性の解明が望まれる.
索引用語