セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍 症例2

タイトル P-202:

OxaliplatinのマネジメントによりSOX+Bevacizumab療法が奏効し長期生存中の直腸癌肝転移の一例

演者 廣橋 喜美(高木病院外科)
共同演者 松山 悟(嶋田病院外科), 田中 雅之(高木病院外科), 下西 智徳(高木病院外科)
抄録 症例は61歳男性,疲労感を主訴に来院.精査にてほぼ右葉を占拠する多発肝転移(H3)を伴う直腸癌の診断を得た.人工肛門造設後にSOX+Bevacizumab(Bev400mg,Oxali200mg,S1 100mgいずれも/body)を開始した.6クール目に強い食指不振や倦怠感出現したため,dose down(Bev300mg,Oxali150mg,S1 80mg)してからはほぼ消化器症状は消失した.肝転移は徐々に縮小し石灰化を伴うようになり腫瘍マーカーも著減した(CEA3814→31.4,CA19-9 41980→418).しかし10クール目に末梢神経障害出現したためXELIRI+Panitumab(CPT160mg,Pani200mg,Xeloda3000mg)に変更した.変更後は下痢と口内炎はあるもののコントロール可能で治療継続でき,肝転移巣は縮小傾向がつづき腫瘍マーカーも漸減した(CEA7.5,CA19-9 29).しかし1年後19コース目に肝転移増大し腫瘍マーカーの上昇が見られたため,再びSOX+Bevacizumab(Bev400mg,Oxali150mg,S1 80mg)を開始した.再開後8コース目にgrade3の末梢神経障害出現したためOxaliplatinを除いたS1+Bevacizumabに変更し治療継続した.神経症状が改善し再びSOXに戻したが下肢脱力が出現したため,再びS1+Bevacizumabに戻し治療継続中である.SOFT試験で示されたようにSOX+Bevacizumab療法は進行再発大腸癌において有用な治療法と考えられる.本症例は初回治療から39ヶ月,SOX+Bevacizumab療法再開後から16ヶ月が経過しているが腫瘍マーカーは低値で推移し肝転移巣も縮小傾向の状態が持続している.Oxaliplatinが奏功しいずれも再開後は速やかに腫瘍マーカーが低下しており,Oxaliplatinの細かなマネジメントにより神経障害をコントロールすることで生存期間の延長がもたらされているものと推察された.
索引用語