抄録 |
【背景】当院は開業8年目の炎症性腸疾患の通院外来治療を得意とするクリニックである.平成25年8月の難病登録では,潰瘍性大腸炎UC 298名,クローン病CD 44名の定期通院がある.当院はメサラジンや局所製剤などの基本治療薬を徹底し,PSL freeを基本として,IFXやintensive GCAP週5回法の適時使用を心がけ,増悪による入院を阻止している.近年バイオ治療の症例が累積増加しており,患者さんのQOL向上と,クリニック治療でのベッド回転の効率性向上のために時間短縮投与《時短》に務めている.【方法】当院でIFXを時短投与されている患者にアンケート調査を行うとともに,投与時反応infusion reaction(IR)の発現状況を検討した.【結果】現在CDで22名,UCで8+1名のIFX維持治療を行っている.IFXの投与時間は導入初期に120分であるが,経時的に時短を行い現在90%(26名)の患者が70分で投与されている.患者さんの時短への評価は良好で,さらなる時短への欲求や,在宅自己注射への希望は聞かれない.IR防止のためH1/H2 blockerやアセトアミノフェン事前内服,PSL 20mgの事前投与を全例で行っており,長期安全性が確認されたものから事前内服を休止している.IRの出現は全治療の1%程度で,しかも症状は軽易であり,点滴速度調節で全例治療貫徹をしている.IR出現時の治療回数は4回目が3例,5回目が1例(120分治療),18回目が1例で(時短70分9回目治療時),時短をしたためのIR増加の事実は得られなかった.10mg/kgでのIR発生例はない.他院で導入後の病診連携・逆紹介患者で発生例が多い傾向があった.【結語】IFXの時短投与は医療機関にメリットとなるうえ,患者さんの負担軽減につながっている.時短を行っても投与時反応件数は増えなかった. |