セッション情報 ポスター

大腸 IBD 症例2

タイトル P-214:

SAPHO症候群に合併した炎症性腸疾患の一例

演者 松島 勇介(高槻赤十字病院消化器科)
共同演者 神田 直樹(高槻赤十字病院消化器科), 山中 雄介(高槻赤十字病院消化器科), 菊池 志乃(高槻赤十字病院消化器科), 藤本 大策(高槻赤十字病院消化器科), 熊澤 佑介(高槻赤十字病院消化器科), 成田 基良(高槻赤十字病院内科), 玉田 尚(高槻赤十字病院消化器科)
抄録 【症例】73歳女性【主訴】発熱・胸骨周囲の疼痛【既往歴】高血圧症【現病歴】10年前から手掌・足底に水疱・膿疱を認めていた.○○年2月22日より39℃の発熱と胸骨部痛が出現し3月1日に当院受診した.CTで胸肋鎖骨関節の骨過形成・骨融解像を認め,掌蹠膿疱症を伴うためSAPHO症候群と診断した.プレドニゾロン15mg,ロキソプロフェン60mg3錠を開始し一旦解熱したが,3月4日より腹痛・血便が出現した.下部消化管内視鏡検査で回腸末端・全大腸に散在性に多発性潰瘍を認めた.ロキソプロフェンを中止し,抗生剤投与を開始したが症状の改善を認めず,各種検査(便培養・CMV抗原・QFT・赤痢アメーバ抗体・ANCA)が陰性であった為,炎症性腸疾患の合併と考え3月16日からステロイドパルス療法を施行した.その後,腹痛・血便とも速やかに消失し,内視鏡所見も改善し3月29日に退院した.外来でプレドニゾロンを15mgから継続・漸減したが8mgまで減量した9月20日頃から発熱・胸骨痛が出現し,10月3日から腹痛・血便も出現した.下部消化管内視鏡検査で3月と同様の散在性の多発性潰瘍を認めた為,再燃と判断しプレドニゾロン30mgに増量し保存的加療で軽快した.その後再発予防にメトトレキサート6mg/週を併用し,外来でプレドニゾロンを8mgまで漸減している.【考察】SAPHO症候群(Synovitis,Acne,Pustulosis,Hyperostosis,Osteitis Syndorom)は,1987年にchamotらにより提唱された滑膜炎・ざ瘡・膿疱・骨化症・骨炎を特徴とする症候群で,特に胸肋鎖骨関節炎を伴うことが多い.SAPHO症候群に合併した炎症性腸疾患は1992年にKahnらが初めて報告しているが報告例は極めて少なく,SAPHO症候群が炎症性腸疾患関連関節炎との類似性から過小診断されている可能性もあり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語