セッション情報 ポスター

大腸 IBD 症例2

タイトル P-215:

潰瘍性大腸炎の術後に発症した食道潰瘍の治療経験

演者 黒木 博介(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター)
共同演者 小金井 一隆(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 辰巳 健志(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 二木 了(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 山田 恭子(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 荒井 勝彦(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 木村 英明(横浜市立大学附属市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 杉田 昭(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)に合併する食道病変は稀であり,術後に発生した食道潰瘍の報告は少ない.【目的】UC術後の食道潰瘍合併症例の臨床経過について明らかにする.【対象・方法】2002年1月から2013年8月までに当施設で重症のために手術を施行したUC190例のうち,術後食道潰瘍を2例(0.01%)に合併した.これらの臨床経過,予後について検討した.【結果】2例ともに分割手術1期目に結腸亜全摘,S状結腸粘液瘻造設,回腸人工肛門造設術を施行した.症例1:53歳,男性.内科治療で改善なく,手術を施行した.DICのため集中治療管理を要し,術後18日目に胃管と人工肛門より出血を認め,上部消化管内視鏡を施行した.中部食道に広範な粘膜脱落と露出血管を認め,クリッピングによる止血術を施行した.病理組織で特異的な所見は認めなかったが,血中サイトメガロウイルス抗原は陽性であった.絶食による保存的加療で潰瘍の改善を認めたが狭窄を来し,繰り返し内視鏡的拡張術を行っている.症例2:47歳,男性.重症で入院し,内科治療で改善せず,緊急手術を施行した.術後5日目に経口摂取開始,低K血症が持続したため,術後10日目に経口K製剤を開始.術後13日目に心窩部痛出現したため,上部消化管内視鏡施行した.下部食道を中心に全周性の粘膜壊死を認めた.病理組織診断では特異的な所見は認めなかった.絶食と粘膜保護剤で加療し潰瘍の改善を認めたが症例1と同様に食道狭窄を来し,内視鏡的拡張術を必要とした.症例1,2とも1期手術後12ヶ月,6ヶ月後に残存大腸切除,回腸嚢肛門管吻合術を施行し,全身状態は良好である.【結語】重症UC術後には原因不明であるが重症の食道潰瘍を生じることがあり,治癒過程で狭窄を来すことがあり,留意する必要がある.
索引用語