セッション情報 ポスター

大腸 その他

タイトル P-222:

5-FUにより意識障害を伴う高アンモニア血症を来した症例の検討

演者 飯田 智哉(市立室蘭総合病院消化器内科)
共同演者 中垣 卓(市立室蘭総合病院消化器内科), 佐々木 基(市立室蘭総合病院消化器内科), 永縄 由美子(市立室蘭総合病院消化器内科), 石上 敬介(市立室蘭総合病院消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院消化器内科), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院消化器内科), 金戸 宏行(市立室蘭総合病院消化器内科)
抄録 【背景】5-FUは大腸癌や食道癌の全身化学療法において,Key drugである.しかし,重篤な副作用の一つである高アンモニア血症についての報告は散見される程度であり,広く認知されるには至っていない.【目的】5-FUにより意識障害を伴う高アンモニア血症を来した5症例について,後ろ向きに検討することを目的とした.【方法】2008年から当科で経験した,上記5症例の患者背景,原疾患,使用regimen,意識障害発現までの日数及び5-FU使用量,意識障害改善までの日数,意識障害発現直後及び改善時のアンモニア値などについて検討した.【結果】年齢は60-81歳(平均71歳),男性4例,eGFR 21-68 ml/min(平均42.8ml/min),大腸癌,多発肝転移の症例が4例,食道癌の症例が1例であった.大腸癌の4症例ではmFOLFOX6,FOLFIRI,BV+mFOLFOX6,BV+FOLFIRIが1例ずつであり,食道癌の症例に対してはFP療法が施行された.意識障害発現までの日数は3-314日(中央値34日),5-FU使用量はtotal 5-FU 1100-4900mg/body(平均3060mg/body)であった.5例中4例で分岐鎖アミノ酸製剤の点滴が行われ,そのうち3例は速やかに意識障害が改善したが,既往に慢性腎不全がある1例では高度の意識障害が遷延したため,緊急で血液透析を行い,翌日には意識障害の改善を認めた.意識障害発現直後及び改善時のアンモニア値はそれぞれ206-500超(測定感度以上)μg/dl,30-115μg/dl(平均68.8μg/dl)であった.なお,意識障害が発現した後,全例で頭部CT及びMRIを施行したが,白質脳症や脳転移は認めなかった.【結論】重症例と思われる1例を含む,上記5症例について検討した.既報には,大腸癌,多発肝転移の症例,腎機能低下症例などでは高アンモニア血症が顕在化しやすいとの報告があり,今回の検討内容に矛盾しなかった.しかし,5-FUによる高アンモニア血症の報告数は少なく十分な検討が行われていないため,今後も症例の集積が必要であると考えられた.
索引用語