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肝 その他1

タイトル P-227:

鉄剤静注による続発性ヘモクロマトーシスの1例

演者 宮崎 慎一(鳥取生協病院消化器内科)
共同演者 甲斐 弦(鳥取生協病院消化器内科), 大廻 あゆみ(鳥取生協病院消化器内科), 森田 照美(鳥取生協病院消化器内科), 上萬 恵(鳥取生協病院消化器内科)
抄録 【はじめに】網内系のみならず,実質細胞にまで鉄沈着がおよぶ鉄過剰症をヘモクロマトーシスと呼ぶが,本邦での報告は少ない.今回われわれは,長期にわたる鉄剤静注が原因になったと思われる続発性ヘモクロマトーシスを1例経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】症例は55歳の女性.人間ドックにて肝機能障害を指摘され精査目的に2010年12月当科紹介.各種ウイルスマーカーおよび自己抗体は陰性であり,腹部超音波検査所見から脂肪肝と診断し定期的に検査を行っていた.非アルコール性脂肪性肝炎(以下NASH)を除外するため2012年9月に肝生検を施行したところ,肝細胞実質にヘモジデリンの沈着を認めた.その後の検査でフェリチンが高値であり,問診より35~53歳まで他医にて間欠的に鉄剤静注を行っていたことが判明.HFE,TfR2,HJV,HAMP,SLC40A1を検索したが,SLC40A1のエクソン6にアミノ酸変異を起こさない変異がヘテロで検出されたのみであり,鉄剤静注による続発性ヘモクロマトーシスと診断した.現在メシル酸デフェロキサミンの筋注にて治療中である.【考察】鉄過剰に陥った肝臓は,超音波検査上高エコーを示すことが知られている.本症例も肝機能障害および超音波所見から脂肪肝ないしはNASHと考え,確定診断が遅れた.続発性ヘモクロマトーシスは症例報告が少なく,肝細胞癌を合併したとの報告もあるが,その頻度は不明である.しかし原発性ヘモクロマトーシスと同様,その終末像は肝硬変・肝細胞癌であることが予想され,肝機能障害をみた場合には本疾患も念頭にいれ,鉄剤投与歴・輸血歴などの聴取も必要であると思われた.
索引用語