セッション情報 ポスター

肝 その他1

タイトル P-228:

NAFLDの成因には男女差がある

演者 知花 洋子(獨協医科大学消化器内科)
共同演者 渡辺 菜穂美(獨協医科大学健康管理科), 平石 秀幸(獨協医科大学消化器内科), 大類 方巳(獨協医科大学健康管理科)
抄録 【背景】非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)の発症は男女間で差があることが指摘されている.NAFLDは非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH),肝硬変,肝細胞癌発症への進展の可能性があり,その発症原因を検討することは重要である.NAFLDと生活習慣との関係について男女別に検討を行った.【対象・方法】2008年10月から2013年1月のドック受診者1941例のうち,腹部超音波検査を行い,HCV抗体陰性,HBs抗原陰性で,飲酒量20g/日以下の1414症例(男性884症例,女性530症例)平均年齢57.2歳を対象とした.腹部超音波検査で脂肪肝を認めた症例をNAFLDと診断し,非NAFLD群との検討を男女別行った.特定健康診査質問票22項目の問診を行った.統計はt検定,χ2検定を行いP<0.05を有意差ありとし,単変量解析,多変量解析を行った.【結果】NAFLDは419症例(21.5%)で男性322例,女性97例であった.男女共に糖尿病,脂質代謝異常症,高血圧症例にNAFLDが多く,WBC,Hb,γGTP,AST,ALT,総蛋白,TG,LDL-C高値例,20歳時の体重から10kg以上の増加を認めた症例,食べる速度が速い症例にNAFLDが有意に多かった.男性では,NAFLD症例は身長が高く,年齢が若い症例に有意に多く,睡眠時無呼吸症例,痛風症例が有意に多かった.運動習慣とNAFLDの発症には有意差を認めなかった.女性ではNAFLDは身長が低い症例に有意に多く,平均年齢が高い傾向にあった.女性では運動習慣が少ない症例,糖尿病薬の使用症例にNAFLDが有意に多かった.多変量解析は男性では年齢(Odds比1.0398,95%CI 1.021-1.059,P<0.0001),腹囲(Odds比0.907,95%CI 0.868-8211;0.948,P<0.0001),ALT(Odds比0.862,95%CI 0.781-0.937,P=0.0013)で有意差を認めた.女性ではMS症候群に有意差を認めた(Odds比2.9935,95%CI 1.254-7.415,P=0.0133).【結語】NAFLD発症には生活習慣が深く関係しているが,男女間でその発症要因に差があり,その予防策についても男女別に検討する必要がある.
索引用語