セッション情報 ポスター

肝 その他1

タイトル P-230:

十二指腸との瘻孔形成をきたした巨大肝嚢胞の1例

演者 立野 太郎(今給黎総合病院外科DELIMITER県民健康プラザ鹿屋医療センター外科)
共同演者 上野 真一(鹿児島大学大学院臨床腫瘍学), 久保 昌亮(県民健康プラザ鹿屋医療センター外科), 原口 優清(県民健康プラザ鹿屋医療センター外科), 原口 尚士(県民健康プラザ鹿屋医療センター外科), 夏越 祥次(鹿児島大学大学院消化器・乳腺甲状腺外科学)
抄録 症例は65歳女性.発熱と右季肋部痛を主訴に近医を受診.CT検査を施行され,肝内に巨大なair densityを含む嚢胞性病変を認め,当科紹介・入院となった.造影CT検査にて肝S4に巨大な含気嚢胞を認め,十二指腸球部と瘻孔形成が描出された.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部に潰瘍を認め,その潰瘍底に瘻孔が認められた.この瘻孔を造影したところ,含気嚢胞の内部が造影された.十二指腸潰瘍の肝嚢胞への穿通と診断し,絶食,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の静注,抗生物質の静注にて加療したところ,嚢胞が急速に増大し,痛みが増悪した.PPIにより瘻孔が閉鎖し嚢胞内圧が上昇したものと考えられたため,入院9日目に経皮経肝嚢胞ドレナージを行ったところ,痛みと炎症所見は軽快した.根治目的に入院13日目に手術を施行した.手術では腹腔鏡下に嚢胞を開窓し,内部を洗浄した後に嚢胞上皮を焼灼し,嚢胞死腔に大網充填を行った.十二指腸との瘻孔は自動縫合器を用いて切離・閉鎖した.術後経過は順調で,感染の再燃や十二指腸潰瘍の再燃などは認めていない.十二指腸潰瘍の肝嚢胞への穿通は比較的まれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語