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HBV

タイトル P-236:

当施設でステロイド・核酸アナログ併用治療を行った重症急性B型肝炎の臨床的検討

演者 城所 秀子(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科)
共同演者 中塚 雄久(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科), 枡 卓史(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科), 新井 泰央(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科), 竹之内 菜菜(日本医科大学消化器内科学), 安良岡 高志(日本医科大学消化器内科学), 中川 愛(日本医科大学消化器内科学), 橋本 知実(日本医科大学消化器内科学), 糸川 典夫(日本医科大学消化器内科学), 張本 滉智(日本医科大学消化器内科学), 福田 健(日本医科大学消化器内科学), 松下 洋子(日本医科大学消化器内科学), 厚川 正則(日本医科大学消化器内科学), 金子 恵子(日本医科大学消化器内科学), 川本 智章(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 重症急性B型肝炎に対する核酸アナログ,副腎皮質ステロイド剤投与は肝不全への移行を予防できる一方で慢性化を助長する可能性がある.今回我々は劇症化が危惧されステロイド・核酸アナログ併用治療を行った急性B型肝炎症例の治療経過について,無治療例との比較検討を行った.【対象】2011年10月~2013年9月に当院にて入院治療を行った急性B型肝炎症例10例のうち,HIV合併症例を除いた9例を対象とした.無治療で改善した5例(観察群),ALT高値遷延または急激なPT低下が見られ,劇症化危険症例としてPrednisolone(PSL)・Entecavir(ETV)投与を行った4例(治療群)について,背景,治療経過を比較検討した.【結果】全例男性,平均年齢33歳,genotypeは観察群:A5例,治療群:A3例,C1例であった.全例が初診時HBeAg陽性,ALT:観察群1849±860,治療群2010±940.PT:観察群93.6±14.7,治療群77.5±33.6,T-Bil:観察群6.5±3.3,治療群2.6±1.3.治療群全例で投与翌日よりALT,PT改善を認めた.PSL投与期間は平均71日,全例で中止後再燃は見られなかった.ETVはHBV-DNA陰性,HBsAb陽性を確認し得た1例で中止,1例は自己中断,2例は投与継続を必要とした.劇症化した1例は血漿交換を併用した.HBeAg消失,HBsAg消失,HBV-DNA感度以下,HBsAb陽性症例は治療群:各々4/4,4/4,1/4,2/4,観察群:各々5/5,4/5,4/5,3/5であった.治療群では観察群に比較して早期にHBsAg消失,HBV-DNA感度以下,HBsAb陽性が確認された.【考察】ステロイド・核酸アナログ併用治療は重症肝炎症例において肝炎の速やかな改善が得られ重症化を予防し得たが,慢性肝炎への移行については長期に経過観察が必要である.また投与の適応については尚検討が必要と考えられた.
索引用語