セッション情報 ポスター

HBV

タイトル P-240:

B型慢性肝疾患に対するエンテカビル治療経過観察例におけるHBs抗原量と肝発癌についての検討

演者 島田 昌明(国立名古屋医療センター消化器科)
共同演者 岩瀬 弘明(国立名古屋医療センター消化器科), 都築 智之(国立名古屋医療センター消化器科), 桶屋 将之(国立名古屋医療センター消化器科), 龍華 庸光(国立名古屋医療センター消化器科), 喜田 裕一(国立名古屋医療センター消化器科), 久野 剛史(国立名古屋医療センター消化器科), 田中 優作(国立名古屋医療センター消化器科), 江崎 正哉(国立名古屋医療センター消化器科), 加藤 文一朗(国立名古屋医療センター消化器科), 浦田 登(国立名古屋医療センター消化器科), 後藤 百子(国立名古屋医療センター消化器科), 水田 りな子(国立名古屋医療センター消化器科), 平嶋 昇(国立名古屋医療センター消化器科)
抄録 【目的】当院においてB型慢性肝疾患に対するエンテカビル(ETV)治療がおこなわれた症例でHBs抗原量と肝発癌について検討した.【方法】当院でB型慢性肝疾患に対しETV治療を導入し,1年以上経過観察している40例を対象とした.ALT値,HBV-DNA量(real time PCR法),HBsAg量(CLIA法),HBcrAg量,AFP値,肝発癌などについて検討した.【結果】男性26例,女性14例,平均年齢は52.6±9.9歳で,平均観察期間は39.0±19.3ヵ月であった.ETV単独治療33例,ラミブジンからETVへ切り替え7例であった.治療前HBeAg陽性は14例(35.0%)に認めた.治療前のALT値は105.8±142.9 IU/Lであり,治療後に33例(82.5%)がALT<30 IU/Lとなった.HBV-DNA量は6ヵ月以内に75.0%,最終観察時に94.4%が検出感度以下となり,HBeAg陽性例と比べ陰性例でより早く検出感度以下となった.治療開始後にHBeAgセロコンバージョンを2例(14.3%)に認めた.HBsAg<80 IU/mLは2例に認め,内1例は陰性化した.これらの症例は治療開始時のHBsAg量が少なかった.治療後にHBcrAg量<2.9 logU/mLの症例はHBeAg陰性率が高く,HBsAg<80 IU/mLとなる症例を認めた.AFP値は治療後,有意に低下した(治療前:29.8±88.7 ng/mL,最終観察時:3.4±2.0 ng/mL).1例に肝発癌を認めた(治療開始22ヵ月後).発癌例ではETV治療後にHBV-DNA量は検出感度以下となっていたが,HBsAg量の減少は認めなかった.【結論】ETVは高率にALT正常化やHBV-DNA陰性化が期待でき,AFP値も低下させる有効な治療であった.一方,HBsAg陰性化は極めて低率で,HBsAg量が減少しない症例から肝発癌を認めた.今後はHBsAg陰性化を目指した治療法の工夫が必要と考えられた.
索引用語