セッション情報 ポスター

肝硬変

タイトル P-245:

肝硬変における就眠前軽食導入によるインスリン抵抗性改善効果についての検討

演者 華井 竜徳(岐阜大学医学部消化器病態学講座)
共同演者 白木 亮(岐阜大学医学部消化器病態学講座), 大西 祥代(岐阜大学医学部消化器病態学講座), 今井 健二(岐阜大学医学部消化器病態学講座), 末次 淳(岐阜大学医学部消化器病態学講座), 高井 光治(岐阜大学医学部消化器病態学講座), 清水 雅仁(岐阜大学医学部消化器病態学講座), 森脇 久隆(岐阜大学医学部消化器病態学講座)
抄録 【目的】肝硬変において蛋白・エネルギー低栄養は高頻度に出現し,予後に影響を及ぼす.間接熱量計で計測した非蛋白呼吸商(npRQ)はエネルギー低栄養の指標であり,npRQが0.85未満の肝硬変患者に対して就眠前軽食(LES)を行うことは,エネルギー代謝の改善に有用である.近年の食の欧米化に伴い,肝硬変患者において肥満患者の増加が報告されている.肥満に伴うインスリン抵抗性(HOMA-IR)の上昇は肝発癌のリスク因子であるが,LES導入によるインスリン抵抗性への効果についての詳細な報告はない.そのため我々は,肝不全用経腸栄養剤を使用し,LESによるエネルギー代謝およびインスリン抵抗性改善効果について検討したので報告する.【方法】当院入院中のnpRQ 0.85未満の肝硬変患者33例を対象とし,肝不全用経腸栄養剤によるLESを1週間行った.患者背景は男性19名,女性14名,平均年齢は72歳,Child-Pugh分類ではChild Aが10例,Bが11例,Cが12例であった.原因疾患はB型肝硬変5例,C型肝硬変20例,アルコール性肝硬変7例,その他1例.肝細胞癌合併患者は19例であった.検査前夜18時の夕食後より絶食とし,検査当日午前8時の安静臥床時に間接熱量計を用いてnpRQを測定し,血液・生化学的検査を行った.【結果】LES導入によりnpRQは有意に上昇し(P<0.0001),逆に遊離脂肪酸は低下を認めた(P<0.0001).またアミノ酸・蛋白代謝においてはBTR上昇(P<0.0001),N-balance増加(P<0.0001)を認めたが,HOMA-IR(P=0.74)は改善を示さなかった.そこで肝硬変患者をHOMA-IR改善群と悪化群に分けて比較検討したところ,LES導入により改善群と悪化群ともに有意なBTR増加(P<0.01)を認めていたが,改善群では悪化群と比較しより有意なBTR増加(P<.05)を認めた.【結論】LESによる充分量のBCAA投与はインスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された.
索引用語