セッション情報 ポスター

肝硬変

タイトル P-248:

甘酒摂取が,肝硬変患者のQOL改善に及ぼす影響:Pilot study

演者 長尾 由実子(久留米大学医学部消化器疾患情報講座)
共同演者 佐田 通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
抄録 【目的】肝臓は,生体の栄養代謝の中心臓器であることから,その機能不全をきたした状態である肝硬変症においては多彩な栄養代謝障害が生じる.したがって,肝硬変においては食事の回数を増やし,分割食と就寝前夜食(LES)が有効とされている.一方,日本の伝統的な甘味飲料の1つである甘酒は,ブドウ糖を始め必須アミノ酸や必須ビタミン類を多く含む発酵食品である.マウスでは,抗肥満効果・血圧状況抑制効果・健忘抑制効果が報告されているが,ヒトでの効果を示すエビデンスはほとんどない.本研究では,肝硬変患者に対する甘酒によるLES療法の有効性とQOL効果を検討した.【方法】対象は,2009年12月より2010年4月までの間に当院を受診した肝硬変患者のうち,当院倫理審査の選択基準(血清アルブミン値4.0g/dL以下,投薬治療を受けていない糖尿病患者等)と除外基準に合致した4名の患者(平均年齢67.3歳)で,C型肝硬変3名(いずれもChild-Pugh A)とB型肝硬変1名(Child-Pugh B)である.方法は,甘酒200kcalをLESとして12週間摂取させ,4週,8週,12週受診時に自覚症状の確認と血液生化学検査を実施した.自覚症状は,腹部膨満感・浮腫・倦怠感・こむら返り・食欲低下・味覚障害・下痢・嘔吐・睡眠障害の項目に対しVASを用いて評価した.【成績】全例が,甘酒摂取前に比べ摂取後にQOLの改善を示した.甘酒8週摂取後に腹部膨満感・便秘・嘔吐が消失し,12週摂取後に味覚障害・睡眠障害が消失した.また甘酒摂取によって,全例が白血球数とくに好中球数の増加を示した(平均1689.3/μl→3763.9/μl).【結論】アミノ酸やビタミンを含む甘酒は,肝硬変患者の自覚症状の改善やQOLの向上に有用と考えられた(Nutr Food Sci 2013, 3:223).※当院倫理審査承認番号09149,UMIN CTR ID 000010550
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