セッション情報 ポスター

肝硬変

タイトル P-249:

エゼチミブのNASHメダカへの作用とヒトNAFLD症例に対する使用経験の検討

演者 大野 高嗣(山口大学消化器病態内科学)
共同演者 寺井 崇二(山口大学消化器病態内科学), 大石 俊之(美祢市立美東病院内科), 桑代 紳哉(徳山中央病院消化器内科), 藤澤 浩一(山口大学消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学消化器病態内科学)
抄録 【目的】高脂肪食(High fat diet:HFD)投与によるメダカNASHモデルを用いて,エゼチミブの効果,作用メカニズムを検討した.さらに当科の外来でのエゼチミブの使用経験について検討した.【方法】(基礎研究)生後3か月のCabメダカにNASHを誘導しエゼチミブ投与群・非投与群について脂肪の蓄積,組織像を検討することで,エゼチミブのNASHに対する効果について検討した.(臨床研究)2009年~2012年の当科外来でNAFLDを合併する脂質異常症と診断されエゼチミブを使用した7症例(男女比4:3,NAFLD7例)の3ヶ月後,12ヶ月後の各種血液データについて解析を行った.【成績】(基礎研究)HFD投与により誘導されたNASHメダカにおいて,エゼチミブ投与により肝臓の脂肪量が低下し,組織学的にはNAS(NAFLD activity score)を参考にしたM(Medaka)NASの改善を確認した.(臨床研究)エゼチミブを開始した脂質異常症の患者は,3ヶ月後,12ヶ月後の血液検査でT-chol(p<0.05)が有意差をもって低下していた.肝障害をきたしたNAFLD症例では,有意差は無いがALTは改善傾向を認めた.【結論】エゼチミブは小腸での脂肪吸収を阻害することで肝臓の脂肪酸量を低下させ,NASH病態を改善する機序がメダカモデルでは明らかになった.ヒト検討で,エゼチミブの脂質異常症に対する効果は明らかになったが,肝機能障害改善効果までは傾向のみで有意差は認められなかった.今後さらに臨床症例について解析を続けていく.
索引用語