セッション情報 ポスター

総胆管結石の治療1

タイトル P-253:

高齢者総胆管結石症に対する胆管十二指腸吻合術の意義

演者 坂東 正(済生会富山病院外科)
共同演者 三輪 武史(済生会富山病院外科), 塚田 一博(富山大学消化器腫瘍総合外科)
抄録 【目的】総胆管結石治療は,経乳頭的切石と腹腔鏡下手術が主流となってきたが,開腹手術も限られてはいるものの施行する場合がある.一方,本邦は高齢化の一途をたどり医療における影響も大きく,その治療実績が高齢化社会でどの程度であるかには興味のもたれるところである.そこで今回我々は,高齢者に対する開腹の胆管十二指腸吻合術の治療成績を検討したので報告する.【方法】2000年からの10年間に施行した胆管十二指腸吻合術のうち,手術時年齢65歳以上の高齢者26例を対象とした.観察期間の中央値は83.2か月.当院では胆管結石症治療の第一選択を経乳頭的切石と腹腔鏡下胆嚢摘出術としているため,手術適応は何らかの理由で内視鏡的治療が困難だった症例である.【結果】前期高齢者は10例,後期高齢者11例,超高齢者5例であった.全例耐術し,術後平均22.2日で退院となった.前期22.8日と後期17.8日ではあまり差を認めなかったが,超高齢では30.8日と延長していた.原因は家族の受け入れ問題等の非医学的要因が多かった.術後水分摂取開始は平均4.7日で,前期高齢者5.0日,後期高齢者4.8日,超高齢者3.8日となっており,食事開始は平均6.4日で,前期7.3日,後期6.2日,超高齢5.2日といずれも高齢者になるほど早まる傾向であった.高齢に起因する合併症の発症を危惧し早期のADL改善を意識した結果と考えられた.術後胆管結石の再発はなく,胆管炎は前期高齢者2例,後期高齢者1例に認めたが,いずれも内視鏡による吻合部の観察が可能であり胆管結石再発がないことを確認でき,抗菌薬の投与による保存的治療にて軽快した.三分の二の症例が老衰もしくは他病死しており,余命の比較的短い高齢者ではあるが,開腹手術治療の妥当性は認められると考えられた.【結論】経乳頭的治療困難な高齢者の総胆管結石症に対する胆管十二指腸吻合術は,手術手技が簡便で開腹手術の中では比較的低侵襲であり周術期合併症が少なく,胆管炎はほとんどなく長期的にも有用な治療法と考えられた.
索引用語