セッション情報 ポスター

総胆管結石の治療1

タイトル P-254:

高齢者総胆管結石症に対する治療と予後に関する検討

演者 小野 博美(静和記念病院内科)
共同演者 佐藤 正博(静和記念病院内科)
抄録 【目的】高齢者総胆管結石症に対する治療と予後に関し後ろ向きに検討した.【方法】2007年2月より2013年6月までに当院で総胆管結石を有する高齢者32例を対象とした.男性18例(56.3%),平均年齢81.6歳(65-98歳)である.高齢者をA群(65歳以上79歳以下)12例とB群(80歳以上)20例の2群に分類し比較検討した.【成績】32例の治療は,ERC+外科療法が11例,外科療法のみが9例,ERCのみが7例,PTGBDが1例,保存療法が4例であった.観察期間中の死亡数は10例で死亡例の平均生存期間は173日(11-428日)であった.死亡原因は急性肺炎が3例,敗血症性ショックが1例,急性胆管炎が1例,急性心不全が1例,うっ血性心不全増悪が1例,ARDSが1例,急性腎不全が1例,老衰が1例であった.A群の治療はERC+外科療法が5例,ERCのみが4例,外科療法のみが3例であった.B群ではERC+外科療法が6例,外科療法のみが6例,ERCのみが3例であった.血液・生化学所見では,アルブミン(g/dL)がA,B群で各々3.9±0.4と3.5±0.4でp=0.0081,γ-GT(U/L)が500.3±308.9と296.0±296.5でp=0.0396,LAP(U/L)が197.5±101.3と130.3±78.0でp=0.0316と有意差を認めた.結石数,結石の大きさでは有意差を認めず,抗凝固薬使用は4例(33.3%)と8例(40.0%)でp=0.7061と有意差を認めず,ERC実施時間(分)では43.0±16.6と62.0±34.0でp=0.0775と有意差を認めず,入院期間(日)では,32.9±10.0と89.9±74.2でp=0.0015と有意差を認めた.死亡例は1例(8.3%)と9例(45.0%)でp=0.0303であった.B群の死亡原因は呼吸器疾患(肺炎,ARDS)が4例,循環器疾患が2例であった.予後では生存平均値(日)においてA,B群で1751.875と864.278でp=0.0256と有意差を認め,B群で有意に予後不良であった.【結論】80歳以上の高齢者では低栄養状態であり,ERC,外科療法後,呼吸器・循環器疾患の合併症による死亡が多いため,術前栄養状態の改善,術後呼吸器・循環器ケアが必要である.
索引用語