セッション情報 ポスター

総胆管結石の治療1

タイトル P-255:

Large Balloon Dilationによる高齢者総胆管結石の治療

演者 萱場 尚一(岩手県立胆沢病院消化器科)
共同演者 市川 遼(岩手県立胆沢病院消化器科), 永井 博(岩手県立胆沢病院消化器科), 下山 雄丞(岩手県立胆沢病院消化器科), 諸井 林太郎(岩手県立胆沢病院消化器科), 石山 文威(岩手県立胆沢病院消化器科), 木村 智哉(岩手県立胆沢病院消化器科), 矢口 圭(岩手県立胆沢病院消化器科)
抄録 【目的】総胆管結石に対して内視鏡的乳頭切開術(EST)または乳頭拡張術(EPBD)を施行し除石することは現在標準的治療となっている.近年巨大結石や再発を繰り返す症例に対し,EST+大口径バルーン(EPLBD)による結石治療の有用性が多数報告されているが,今回当科で施行した高齢者に対するEPLBD治療の成績について検討を行った.【方法】対象は2009年11月から2013年9月までに当科にてEPLBDを施行した65歳以上の総胆管結石77例.65~74歳を前期高齢者群:男性11例・女性8例 計19例(前期群),75~84歳を後期高齢者群:男性27例・女性17例 計44例(後期群),85歳以上を超高齢者群:男性6例・女性8例 計14例に分けて解析した.三並らの報告に準じ,EST小切開後に胆管径に合わせてC.R.E.バルーン(ボストン社,最大径18~20mm)にて乳頭拡張を行い,砕石具にて除石を行った.【成績】66例において除石に成功したが,一期的に除石出来なかった症例が前期群4例,後期群6例,超高齢者群1例,計11例に認められ,その原因は胆管拡張不良が6例,巨大結石・積み上げ結石などで除石不能の症例が5例だった.11例中10例にその後の胆管炎再発を認め,胆管ステントまたは再除石にて対応した.尚,2回目の治療で除石に成功した症例が2例認められた.成功例も含め特に問題となる偶発症は認めず,最長46ヶ月の経過観察中に前期群2例,後期群1例,超高齢者群2例,計5例が死亡しているが,全て他病死だった.【結論】EPLBDによる治療は,諸家の報告通り合併症の危険は特に高くなくかつ効果的と思われ,当科にて一期的除石に成功した大部分の症例(94%)はその後の再発が抑えられており,高齢者であっても有用な治療法と思われた.糸井らの報告通り胆管径が全体に細い例,膵内胆管が拡張されない例などはEPLBDによる治療は困難だった.巨大結石・積み上げ結石なども除石困難となることがあり,更なる症例の蓄積と手技の工夫が必要と思われた.
索引用語