セッション情報 ポスター

術後再建腸管FRCP その他

タイトル P-265:

胆道気腫を契機に発見された糞線虫症の1例

演者 井上 潔彦(PL病院外科)
共同演者 石川 真平(PL病院外科), 中尾 照逸(PL病院外科)
抄録 【症例】62歳女性.【主訴】右季肋部【現病歴】4か月前から上腹部から右季肋部にかけての腹痛を認めていた.腹部超音波検査にて胆嚢内にsludge,軽度の胆嚢壁肥厚,胆道気腫を認めたため,精査加療目的で紹介となった.腹部CT検査でも肝両葉の肝内胆管および胆嚢内,主膵管内にもairの流入を認めた.また,十二指腸水平脚から空腸に壁肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査で十二指腸粘膜の浮腫,粘膜ひだの腫大,びらんを認めた.生検を行ったところ糞線虫体が検出された.また,糞便検査でも糞線虫が検出された.【経過】イベルメクチンを2週間間隔で2回経口投与したところ,腹部CTで胆道気腫は消失し,十二指腸水平脚から空腸にかけての壁肥厚も軽減していた.上部消化管内視鏡検査でも,十二指腸下降脚から水平脚にかけてみられた粘膜不正は消失していた.十二指腸の生検でも糞線虫は検出されなかった.【考察】糞線虫症は十二指腸や小腸上部に寄生する小さな線虫である糞線虫によっておこる寄生虫疾患である.糞線虫は熱帯・亜熱帯の土壌に広く分布し,全世界に5000万人以上の感染者がいると推定されており,わが国の浸淫地は奄美,沖縄地方である.本症例は沖縄本島出身であるが,非浸淫地である大阪に約45年前から居住されていた.また,HTLV-1抗体が陽性であった.【結語】今回我々は,胆道気腫を契機に発見された糞線虫症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語