セッション情報 ポスター

胆道癌 その他

タイトル P-273:

EUS-FNAが術前診断に有用であった胆嚢病変の2例

演者 羽場 真(NTT東日本札幌病院消化器内科)
共同演者 吉井 新二(NTT東日本札幌病院消化器内科), 川本 泰之(NTT東日本札幌病院消化器内科), 清水 佐知子(NTT東日本札幌病院消化器内科), 横山 朗子(NTT東日本札幌病院消化器内科), 三浦 巧(NTT東日本札幌病院外科), 宮坂 祐司(NTT東日本札幌病院外科), 赤倉 伸亮(NTT東日本札幌病院消化器内科)
抄録 【症例1】58歳男性.心窩部痛を主訴として前医を受診したところ,胆嚢の異常を指摘され当科紹介となった.US・CTで胆嚢頚部の結石と,不整な壁肥厚をみとめ,胆嚢癌や黄色肉芽腫性胆嚢炎などが疑われた.経鼻胆嚢ドレナージチューブ(ENGBD)下洗浄細胞診では悪性の診断は得られなかった.EUSで十二指腸球部より肥厚した胆嚢壁に対して22G針を用いてFNAを施行し低分化腺癌と診断されたことより,深達度SS以深の胆嚢癌の診断で,拡大胆嚢摘出術,肝外胆管切除術,D2廓清を施行した.切除標本の病理診断は,深達度ssの中~低分化型腺癌で,治癒切除を得た.【症例2】68歳女性.黄疸と右季肋部痛のために前医を受診し,精査加療のために当科紹介となった.US・CTで胆嚢頚部の結石と頚部から底部にかけての壁肥厚を認め,上部胆管は狭窄していた.胆管浸潤を伴う胆嚢癌,黄色肉芽腫性胆嚢炎などが疑われた.ERCPでは上部~肝門部胆管に狭窄を認め,胆管狭窄部からの生検では悪性所見は得られず,ENGBD下洗浄細胞診でも異型細胞は認めなかった.EUSで十二指腸球部より肥厚した胆嚢壁に対して22G針を用いてFNAを施行し,炎症性肉芽組織の細片と泡沫細胞の集団がえられたため,黄色肉芽腫性胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.切除標本からはリンパ濾胞形成を伴った胆嚢壁の著名な線維性肥厚を認め,泡沫細胞の集族もみられた.標本中に悪性所見を認めず,黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断された.【考察】胆嚢壁肥厚を示す病変は,画像のみでは良悪性の鑑別が困難なことがあり,治療方針の決定に苦慮する場合が少なくない.今回,EUS-FNAを用いた術前診断が,適切な術式選択に寄与した2例を経験したため報告する.
索引用語