セッション情報 ポスター

門脈圧亢進症

タイトル P-276:

食道静脈瘤破裂を契機にBudd-Chiari症候群と診断されInterventional Radiologyにより良好な転帰を得られた一例

演者 西畠 瑞希(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科)
共同演者 渡邉 健雄(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 鈴木 辰徳(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 中村 知香(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 阿部 道子(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 新井 健介(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 後藤 絵理子(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 磯村 好洋(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 瀬戸 元子(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 外川 修(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 渡邉 一宏(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科), 小池 幸宏(公立学校共済組合関東中央病院消化器内科)
抄録 【症例】27歳女性.特記すべき既往歴はなく生来健康.突然の吐血にて救急搬送された.来院時バイタル安定.血液検査にてHb4.4g/dlと著明な貧血,BUN上昇,BUN/Cre乖離あり.またT-Bil高値,Alb低値,PT延長を認めた.上部消化管出血疑いにて緊急上部内視鏡検査施行.食道中部からEsophagogastric JunctionにかけてF3の食道静脈瘤あり,下部食道の静脈瘤からjet様出血を認めた.以上より食道静脈瘤破裂と診断.内視鏡的静脈瘤結紮術を施行した.原因検索目的に施行したCT,AUSにて左右肝静脈の下大静脈流入部における狭窄を認め,中肝静脈は描出されず.Budd-Chiari症候IV型と診断した.また脾腫,側副血行路の発達,軽度の腹水貯留あり.血液検査所見と合わせてChild-Pugh分類GradeBの肝障害を認めた.肝静脈狭窄に対しバルーン拡張術を施行したが,肝障害の改善は乏しく,肝静脈の再狭窄とそれに伴う食道静脈瘤の再発達を認めた.このため3か月後に肝静脈ステント留置術を施行.ステント留置後肝障害は速やかに改善.食道静脈瘤の再発達を認めることなく経過したが,1年10か月後に肝静脈ステント閉塞による肝障害,黄疸,腹水の出現を認めた.狭窄部に対しバルーン拡張術を施行し,速やかな改善が得られた.今後も再閉塞時にはInterventional Radiology(IVR)を行う方針であるが,IVRが困難となり肝移植に至る可能性もある.
【結語】食道静脈瘤破裂を契機にBudd-Chiari症候群と診断された若年女性に対し,IVRにより良好な転帰を得られた貴重な一例を経験したので報告する.
索引用語