セッション情報 ポスター

門脈圧亢進症

タイトル P-278:

バルーン閉塞下逆行性経静脈性塞栓術(B-RTO)による治療効果の検討

演者 先田 信哉(横浜市立みなと赤十字病院肝胆膵内科)
共同演者 金城 美幸(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 高浦 健太(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 浅川 武人(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 西尾 匡史(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 小橋 健一郎(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 勝倉 暢洋(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 橋口 真子(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 河村 貴広(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 有村 明彦(横浜市立みなと赤十字病院消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器病態学)
抄録 【目的】バルーン閉塞下逆行性経静脈性塞栓術(Balloon occluded Retrograde Transvenous Obliteration,以下B-RTO)は,もともと孤発性胃静脈瘤に対するIVRとして金川らにより開発された.また血行動態によってはその他の消化管静脈瘤の治療や,シャント脳症などへの治療として認識されつつある.自験例について効果を検討した.【方法】2009年8月より2013年4月までに施行したB-RTO17例のうち手技的成功を得た14例について,後方視的に,静脈瘤への治療効果,偶発症,術直後,術後3か月,半年,1年後の肝機能への影響を検討した.年齢68.2±16.2歳,男/女9/5,HBV/HCV/Al/NBNC1/4/7/2,術前Child-Pugh A/B/C2/7/5,HCC合併または既往+/- 5/9であった.【成績】胃静脈瘤は全例で3カ月後には消失した.破裂した異所性静脈瘤の1例も速やかに止血された.シャント脳症は術直後より全例で改善し,認知症として治療されていた方も治療不要なまでに改善した.血中NH3は術直後151.6±87.5→50.9±14.1μg/dl(P=0.0033)へ低下した.肝機能は術直後は変化を認めないものの,術後3か月で改善し,1年後までその効果は継続した.効果が最大であった半年において,Alb2.94±0.26→3.36±0.51g/dl(P=0.0046),PT66.6±7.59→75.4±8.17%(P=0.0053),T.bil1.55±0.82→1.14±0.62mg/dl(P=0.00020),Child-Pugh8.36±1.69→6.36±1.15(P=0.00028)へといずれも改善した.1例が術中GW穿孔による軽度の後腹膜出血を認めたが処置はそのまま継続可能であった.重篤な偶発症は認めず,2例が食道静脈瘤の増悪を認めたがEIS,EVLにより改善した.1例が術直後脾種による血球減少を認めたが,追加PSEにより改善した.【結論】B-RTOは重篤な偶発症もなく静脈瘤の消失効果に優れており,1年後程度までは肝機能も改善することが示唆された.
索引用語